木曜日は夜ふかし本
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「潤日」舛友雄大著
「潤日」舛友雄大著 いま中国では「潤」という言葉が流行している。元来「儲ける」を意味する言葉だが、ピンインでRunと書くため、よりよい暮らしを求めて国外へと脱出する人々を指すようになった。目指…
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「オリオンは静かに詠う」村崎なぎこ著
「オリオンは静かに詠う」村崎なぎこ著 木花咲季は宇都宮の若草ろう学校に通う高校1年生。ある日、学校帰りに立ち寄った「おひとりさま専用カフェ」で百人一首に出合い、歌の情景が目の前に広がっていくさ…
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「秘仏の扉」永井紗耶子著
「秘仏の扉」永井紗耶子著 聖徳太子をモデルに作られたという法隆寺夢殿の救世観音像は、鎌倉時代以降200年もの間「絶対秘仏」とされ、ほとんど人目にさらされたことがなかった。その扉を開けば仏罰が下…
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「京屋の女房」梶よう子著
「京屋の女房」梶よう子著 時は寛政12(1800)年。江戸は京橋一丁目の煙草入れ屋「京屋」は店を開けた途端、次から次へと客が舞い込み、朝から大わらわだ。 ここは、江戸一番の戯作者と誉れ高い…
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「ロスト7」真山仁著
「ロスト7」真山仁著 新潟の原発近くにある青田稲荷で、不審物が発見されたところから物語が始まる。神社の賽銭箱の上に黒いカバンが置かれており、そこには「触るな危険!!」の文字と放射能を警告する三…
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「他人屋のゆうれい」王谷晶著
「他人屋のゆうれい」王谷晶著 派遣でオペレーターの仕事をしている南大夢は、ある日、兄から、春夫おじさんの遺品整理を押し付けられた。仕方なく都内・下町にある「メゾン・ド・ミル」の404号室を訪ね…
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「秋葉断層」佐々木譲著
「秋葉断層」佐々木譲著 警視庁捜査1課特命捜査対策室の刑事・水戸部のもとに、27年前のひき逃げの未解決事件が持ち込まれたところから物語は始まる。ひき逃げなら本来交通捜査課の仕事だが、被害者の姉…
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「もっと読みたくなる! 芥川龍之介」野田康文編、入江香都子、溝渕園子著
「もっと読みたくなる! 芥川龍之介」野田康文編、入江香都子、溝渕園子著 平安時代を舞台に描かれた短編小説「藪の中」は、武弘という男が殺されたという1つの事件をめぐって、当事者3人を含む7人の証…
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「さかさ星」貴志祐介著
「さかさ星」貴志祐介著 物語は、日頃ユーチューブに動画をあげている中村亮太が、祖母の中村富士子からの頼みを受けて、彼女と一緒に祖母の実家・福森家に車で向かうところから始まる。車内には霊能者・賀…
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「ゆびさきに魔法」三浦しをん著
「ゆびさきに魔法」三浦しをん著 月島美佐は、弥生新町駅前の富士見商店街でネイルサロン「月と星」を営むネイリスト。もう1人ネイリストを雇いたいと思いつつ1年が経った頃、「月と星」の数軒隣の居酒屋…
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「五葉のまつり」今村祥吾著
「五葉のまつり」今村祥吾著 「戦」といえば先駆けや敵の首を挙げることなどに目が向きがちだが、実際は兵糧の調達や運搬、武器弾薬の手配、戦地になる村や寺への根回しなどの陰の仕事が大半を占めている。 …
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「真珠王の娘」藤本ひとみ著
「真珠王の娘」藤本ひとみ著 時は1944年。英国首相チャーチルの元を訪れた帝國真珠ロンドン支店の早川薫は、真珠の胸飾り「ハナグルマ」の修理の依頼を受ける。パリ万博に出品された逸品で、修理ができ…
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「死神」田中慎弥著
「死神」田中慎弥著 中学2年のとき、本気で死への衝動に駆られた主人公の「私」は、「死神」に出会った。実はその兆候はそれ以前からあった。校舎のベランダ、遮断機の下りた踏切、赤信号の横断歩道、紐、…
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「争いばかりの人間たちへ ゴリラの国から」山極寿一著
「争いばかりの人間たちへ ゴリラの国から」山極寿一著 ゴリラはこれまで100年以上も、暴力的で好戦的な動物とみなされてきた。しかし、40年余りアフリカに通ってゴリラの暮らしを体験した著者は、彼…
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「青姫」朝井まかて著
「青姫」朝井まかて著 甲斐国巨摩郡高柳村の名主・安住又兵衛の弟である杜宇は、とある武家と悶着を起こしたせいで、村から逃げ出す羽目に陥り、いつのまにか見知らぬ土地へと迷い込んだ。 そこは…
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「ここでは言葉が死を招く」嶋中潤著
「ここでは言葉が死を招く」嶋中潤著 函館市にある医療刑務所分院に勤める医師・金子由衣は、収容されている受刑者を診ている。最近は高齢者ばかりか外国人受刑者を診ることも増え、コミュニケーションの取…
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「迷惑な終活」内館牧子著
「迷惑な終活」内館牧子著 主人公の原英太は75歳。後期高齢者に入るとあって、妻の礼子はエンディングノートやら遺言状やらの終活を始めろとうるさいが、なぜ生きているうちから死の準備をしなきゃいけな…
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「ウバステ」真梨幸子著
「ウバステ」真梨幸子著 還暦を迎えた売れない作家・駒田世津子は逗子の実家で1人暮らし。20年前、世津子の小説「ウバステ」がテレビドラマ化された縁で、今も元テレビ局プロデューサーの小野坂哲子、シ…
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「ことばの番人」髙橋秀実著
「ことばの番人」髙橋秀実著 ネット全盛の時代、誤字脱字まみれで事実関係も危うい言葉が世に氾濫している。なぜ、そんなものばかりが目に付くのかといえば、そこには客観的視点を持つ他者が存在せず、書き…
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「龍ノ眼」麻宮好著
「龍ノ眼」麻宮好著 隠密同心の長澤多門は、まるで翡翠のような美しい砥石の出どころを探るため小日向藩石場村へ赴いた。御公儀直轄の砥窪で採掘され闇取引されているのではないか、と奉行所が懸念したため…