チワワCMの清水章吾 「人間国宝」から学んだ先読みと気遣い
普段の生活でも同様でね。冬なら当時のトイレは寒かったですから、小型の石油ストーブを入れておく。手拭きタオルは温めて先生に差し出す。そうそう、お風呂の天井から冷たい滴が落ちてこないように、タオルで水滴を取り除いたこともあったなあ。
先を読む、気配、気遣い……。わかるようで結構難しいですよ。
また、「何事も勉強だ」というのも、口癖でね。父親が亡くなった時は、「人の死とはどんなものか目に焼き付けておきなさい」と言われ、役者魂を改めて思い知らされたものです。
舞台や芝居をしている時だけでなく、「普段の生活の中で心がければそれが身につく」というのも先生の教えでした。
かといって、叱ったり怒ったりばかりでもありません。褒めるべきところはちゃんと見てくれていて、優しい言葉をかけてくださったり、時には5000円とか1万円とかお小遣いをいただきました。ホロリとさせるのもお上手なんですよ。
そんな先生の下で修業した3年の日々は、僕にとっての宝物とも言えるでしょうね。