ぱらぱらとめくっているうちにあることを思い出し、壁に貼ったカレンダーに目を向けた。今日は三時から中華料理店のバイトが入っている。
しまった――
クエットはすぐにスマホを手に取り、店に電話をかけた。
「はい、毎度ありがとうございます。まんぷく飯店小平店です」
女性の声が聞こえた。この時間に働いているバイトのことはほとんど知らない。
「あの……バイトのクエットです。店長か社員のかたに代わってください」
「お待ちください」と保留音がしばらく流れ、電話がつながった。
「クエットくんさあ、ランチ時に電話してこないでくれる? 忙しいってわかるでしょ」
不機嫌そうな店長の声が聞こえた。
(つづく)