吉本社長会見で連呼「ファミリー」比喩はなぜウサンくさい
お笑いの事務所から、笑いが消えた。
吉本興業は芸人も社長も会見で泣きっぱなし。テレビに映る所属タレントも、このネタになるとお葬式に参列しているような神妙な顔つきになる。それだけに事の重大さが浮き彫りになるが、気になるのは会見で岡本社長が言った「ファミリー」という言葉。田村亮も会社側に「おまえはファミリーだ」と言われたそうで、これに亮は「謝りたいという子供を止める親はいない」と反発した。
ファミリーや家族という言葉は、しばしば運命を共にするときの比喩表現として使われる。「会社は家族」「チームはファミリー」といった具合だ。使う側は組織の結束を高めようと思って選んでいるのだろうが、なぜかこのワードを耳にした途端、すべてがウサンくさく感じる。「タカアンドトシ」のタカも、SNSに「ファミリーって(中略)意味わかってんのかなぁ」と投稿していた。
「家族だったらどんなときも支え合うものだ、という前提がそもそも違うかもしれないと誰もが感じているからではないか」と言うのは、お茶の水女子大名誉教授の土屋賢二氏。確かにファミリーは助け合うばかりの関係ではない。親が子供を殺したり、子供が親を殺したりする事件は後を絶たない。歴史を振り返ってもきょうだいや親子で殺し合っている。相続が“争続”になることも日常茶飯事だ。