著者のコラム一覧
神田松鯉講談師

昭和17年生まれ。群馬県出身。新劇・松竹歌舞伎などの俳優を経て、昭和45年2代目神田山陽に入門。昭和52年真打ち昇進。平成4年3代目神田松鯉を襲名。令和元年重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定。

俳優を10年やって講談の世界に

公開日: 更新日:

 松鯉師匠が講談の世界を志した頃、人気は正直なところ、下火だった。低迷している中で生涯の仕事と思って飛び込んだのはどういう経緯だったのか。

「前橋の高校を卒業して役者に憧れ、上京して10年間は俳優をやっていました。ひょんなきっかけがあって、俳優で演出家の桑山正一さんがつくった劇団に入団することになりましてね。九州の炭鉱が舞台の旗揚げ公演で、私に浪曲好きの炭鉱夫の役がついたんです。芝居の中で浪曲を歌うのでレコードを聴いて練習したわけですが、その役の評判がよくて演劇雑誌の劇評で褒められまして。あの時は本当にうれしかったですね。でも、その時はまだ寄席の芸人になろうなんてまったく思っていなかった。ところが、ある日、稽古で菊池寛先生の『形』を朗読していたら桑山さんに『クロちゃん(当時の師匠の呼び名)、おまえの朗読は講談だよ』って言われまして。声の質が講談向きだと思ったようだけど、私はなぜだかわからなかった。でも、そんなふうに言われるなら本物の講談を聴いてみなきゃって思った。初めて新宿の末広亭で聴いたのが師匠(2代目神田山陽)の講談でした。その後、講談専門の本牧亭にも行って他の先生方の講談も聴いたりしました。その中で山陽師匠の講談が素人にもわかりやすく、実に明快と思いました。心を打たれましてね、門を叩くことにしたんです」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末