夏井いつきさんが解く俳句“3ないの呪い” 初心者が行き詰まらないための心得

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 五・七・五の十七音から成り、世界で最も短い文芸と称される俳句。近年のブームで興味を持つ人が増えているが、敷居が高いと身構えてしまう人も多いのではないだろうか。かくいう筆者もその一人。そこでテレビ番組「プレバト!!」の俳句コーナーで先生を務め、俳句ブームの火付け役となった夏井いつきさんに話を伺った。

  ◇  ◇  ◇

「俳句には十七音で詠むことのほかに、季語を1つ入れる決まりがあります。初心者がやりがちなのが、この季語を詠もうとすること。学校の授業でも先生が『梅で一句詠んでみましょう』などと季語をお題にするのをよく耳にします。季語のことだけを詠んだ俳句を『一物仕立て』と言いますが、実はこれはとても高度な作り方なんです」

 梅(春の季語)で俳句を詠むには、まず梅を根気よく観察して特徴を見つけ出す。何とか発見できたとしても、今度はそれを十七音で描写しなければならないという。

 試しに、梅の代わりに花瓶の花を観察してみる。ピンクで花弁が多くてほんのり香る……ありきたりか。私には感性がないのかもしれない。

「観察力、根気、描写力が揃わなければ凡庸な俳句になってしまう。実際、純粋な一物仕立ては俳句全体の3~4%といわれるほど難しいんです。それなのに俳句=季語を詠むものと思い込んでいるから、すぐに行き詰まり、自分には『感性がない』『語彙がない』『教養がない』とあきらめてしまいます。私はこれを『3ないの呪い』と呼んでいます」

■初心者は「尻から俳句」

 早くも呪いにかかっていた……。私のような初心者に、夏井さんは「取り合わせ」から始めることを勧める。取り合わせとは、「季語」とそれ以外の要素である「俳句のタネ」を合わせて作る方法だ。その中でも作りやすいという「尻から俳句」の型に沿って教えてもらう。

「私は季語以外の十二音を『俳句のタネ』と呼んでいます。尻から俳句ではまず下五(最後の五音)に置く名詞を考える。タネは季語以外なら何でもよいのですが、俳句のために探そうとすると身構えてしまう。最初は街で目にしたものや食べた料理など、生活の中で面白いと感じたこと、興味を持ったことをどんどん書き留めていくといいでしょう。その中に五音のものがあったら、それを下五に置くんです」

 例えばこれ、と言って指さしたのが机の上にあった砂時計(すなどけい)。ぴったり五音だ。下五が決まったら、次はそれを描写する中七(七音)を作る。「半透明の青い砂」「吸い込まれるように砂が落ちる」など、砂時計を観察しながら気づいたことや、感じたことを書き出していく。

「書き出したら、それを七音にまとめてみましょう。この七音が砂時計の個性となるのです」

 悩んだ末にできたタネが「吸い込まれていく砂時計」。字余りだが、オリジナリティーを優先していいと夏井さん。出来の良し悪しはさておき、砂時計を説明する作業自体はさほど難しいことではない。

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