映画評論家・白井佳夫さんは90歳「映画は数ある娯楽のひとつに。むしろ正しい位置でしょう」
白井佳夫さん(映画評論家/90歳)
近年は邦画というと、アニメが元気な一方、実写作品は苦戦。製作陣も俳優も忸怩たる思いがあるのではないか。そんな現状を、元「キネマ旬報」編集長で、歯に衣着せぬ映画評で知られる白井佳夫さんはどう見ているのか。白井さんに聞いた。
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「かつては映画が突出した娯楽だった時代がありましたが、今は映画、テレビ、ビデオ、演劇、コンサート……数ある娯楽のひとつになりました。むしろ、これが正しい位置でしょう。アニメ人気は良いのではないですか。“雰囲気を楽しむ映画”の時代になってきたな、と思いますね。アニメも話題作は、ひととおり見ますよ。3年前に話題になった『劇場版<鬼滅の刃>無限列車編』は……批評は書きませんでしたが」
東京・杉並にある自宅の仕事部屋で会った白井さん、まずはこう言った。2月には由緒あるキネマ旬報ベストテンが発表され、三宅唱監督の「ケイコ 目を澄ませて」が受賞したが……。
「あまり興味ないですね。大物総会屋さんだった当時の社長から、ロッキード事件に関する発言が原因でクビになった会社だから。以来、経営者は代わりましたが、ずっと雑誌を送ってきさえしないしね」