映画評論家・白井佳夫さんは90歳「映画は数ある娯楽のひとつに。むしろ正しい位置でしょう」
映画評を書く以外は月1回、近隣の小さな映画館で、弁士付きのサイレントの名画の上映会を行い、「池袋コミュニティ・カレッジ」で月2回の講座をもつ。
90歳にして旺盛な仕事ぶりだ。
「前立腺肥大や皮膚炎などで、お医者さん通いも忙しいです。私は幼い頃から体が弱く、またこの好きな仕事を少しでも長く続けるために、体を整えなきゃならないと思って気をつけてきました。病院にひとりで電車を乗り継いで行くなどして、よく歩いています。40代からは西洋医学だけじゃダメだと思って、週1回、私に合った物理治療にも定期的に通っています。私の場合、これで1週間の疲れが取れます。定期的に行くことで、大病の予防になっているんじゃないかと思いますね。食事は1日3食。週3回くらいはステーキか焼き肉が食べたいくらい、肉が大好きです」
健康長寿は長年の丁寧な生活の積み重ねなのだ。
さて、川崎生まれの白井さんは、中学1年で終戦を迎え、米国映画「春の序曲」を見て衝撃を受け、映画評論家志望に。
その後、小津安二郎監督の「晩春」を見て日本映画に目覚め、早稲田大学演劇科卒業後、映画専門出版社・キネマ旬報社入社。1968~76年に編集長を務め、作家・池波正太郎や五木寛之に映画論を依頼したり、読者の投稿映画評を掲載するなど、紙面を大刷新し好評を得た。