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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

中村倫也「Shrinkー精神科医ヨワイー」精神科や精神科医に対する不要なハードルを下げる効果がありそうだ

公開日: 更新日:

 先週末、土曜ドラマ「Shrink-精神科医ヨワイ-」(NHK)がスタートした。

 主人公の弱井幸之助(中村倫也)は新宿の路地裏で精神科医院を営んでいる。ハーバードの医科大学院に留学した俊英だが、大学の医局を辞めて開業医の道を選んだ。

 第1話の患者はシングルマザーの雪村葵(夏帆)。保育園に通う息子を育てながら働いているが、突然、通勤電車の中で胸が苦しくなり、倒れてしまう。「パニック症」だった。過労や徹夜、ストレスなどによって交感神経が過剰に働き、激しい動悸や息苦しさなどの症状を起こす病気だ。

 弱井は「脳の誤作動」によるものだと説明し、葵は「この苦しさに名前をつけてほしかった」と感謝する。電車や会議室といった閉鎖空間に不安を覚える葵だが、弱井の指導で少しずつ日常を取り戻していく。

 アメリカでは精神科医をスラングで「シュリンク」と呼ぶ。患者の日常的な悩みをシュリンク(小さく)してくれる身近な存在という意味だ。

 一方、日本では昔から精神科はどこか「特別なところ」と思われている節がある。受診をためらい、悩みや苦しみを我慢してしまうことの危うさ。このドラマには、精神科や精神科医に対する不要なハードルを下げる効果がありそうだ。

 物語は全3話。この後は「双極症」「パーソナリティー症」が続く。

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