第34回伊藤園「お〜いお茶」新俳句大賞 文部科学大臣賞決定
ルールにとらわれることなく自由に表現してもらう「新俳句」
伊藤園が主催する「第34回伊藤園お~いお茶新俳句大賞」の文部科学大臣賞、金子兜太賞および各部門大賞がこのほど決定、その発表と表彰式が先日、都内のホテルで開催された。対面での表彰式は4年ぶりとあって受賞者の喜びもひとしおのようだった。
表彰式には主催者の本庄周介伊藤園代表取締役副社長・執行役員の他、浅井愼平(写真家)、いとうせいこう(作家・クリエーター)、村治佳織(ギタリスト)、夏井いつき(俳人)らの審査員各氏、さらには盛山正仁文部科学大臣が出席。
応募作品「初日の出とても小さい駅で見た」で文部科学大臣賞を受賞した小林航さん(8歳・大阪府)をはじめ金子兜太賞の篠原孝太さん(16歳・愛媛県)、一般の部A(40歳未満)大賞の臼倉智美さん(32歳・東京都)、一般の部B(40歳以上)大賞の平野ケプラー晶子さん(58歳・ドイツ)ら各大賞の発表と表彰を行った。
ちなみに、同大賞は93年の第5回から文部省(現・文部科学省)の後援を受け、翌94年の第6回より「文部大臣賞(現・文部科学大臣賞)が新設されているが、現役の文部科学大臣が表彰式に出席するのは初めてのこと。
盛山文部科学大臣は、「受賞作はいずれも感情表現の豊かな素晴らしい作品ばかりでした。多くの方々にこれらの作品を読んでいただき、より一層、俳句を身近に感じていただきたい」と語った。
「新俳句大賞」とは
新俳句大賞がスタートしたのは時代が昭和から平成に変わった1989年のこと。
伊藤園ではその4年前の85年に世界で初めて緑茶の飲料化に成功、「缶入り煎茶(緑茶)」を世に送り出していたが、この年、「煎茶」から「お~いお茶」への名称変更を機に新たな創作俳句コンテストとして新俳句大賞を開始した。
このコンテストが始まった前年の88年は歌人・俵万智さんの歌集「サラダ記念日」が260万部も売れた年。カルチャーセンターなどでは俳句や短歌の講座に人気が集まるなど伝統的な短詩形文学への関心が高まりつつあったにもかかわらず、自身の作品を発表する機会がほとんどないという状況だった。
そこで、伊藤園ではコンテストを企画し「お~いお茶」という「商品」を入賞作品の発表媒体に使ってもらうという斬新なアイデアを立案した。
そして、コンテストを開催するにあたって季語や定型など俳句が持つルールは一切問わず、季語がなくても、さらに「字余り」「字足らず」であっても構わないとした。ルールにとらわれることなく感じたことや思ったことを五七五のリズムに乗せて自由に表現してもらおうという独自の手法を「新俳句」と表現したわけだ。
厳正な審査体制
応募作品は現代俳句協会の俳人が第一次・第二次の審査を実施、さらに敗者復活審査を経てさまざまなジャンルの第一人者が審査員を務める在宅審査、最終審査へと進み、厳正な審査の結果、受賞作が決定する。
新俳句大賞は作品の商品パッケージへの掲載や応募へのハードルを低くしたことで幅広い世代に評価され、第1回では約4万句だった応募数は年々右肩上がりに増加。今回第34回は192万句、これまでの累計応募句数は4357万句を超えるという日本一の俳句創作コンテストに成長している。
また、新俳句大賞ならではの大きな特徴は小学校から高校までそれぞれの学校教育の一環として取り組まれ、子どもたちの表現力の育成や情操教育に適した教材として活用されていることが挙げられる。
それは今回も3000校を超える学校単位での応募があり、実に応募数の9割が学生であることからもよく分かるだろう。
最終審査会での審査を通じた今回の作品の印象や傾向について審査員のいとうせいこう氏は、「ほとんどの作品には驚くほど平易な言葉を使いながらも、それぞれ見事な練り込み方がありました。感心させられる句が多くて我々審査員も勉強させられました。1人1人の句も素晴らしいですが、これは流派、新俳句大賞という流派が今回完成したのではないかということをひしひしと感じました」と感想を語った。
11月3日より第35回応募開始
次回「第35回伊藤園お~いお茶新俳句大賞」は11月3日から募集が開始される。締め切りは来春2月29日。季語や定型にとらわれない自由な形の「新俳句」だからこそ誰でも気軽に参加できる。
まだチャレンジしたことのない人も次回はぜひ応募してみては?
【提供】伊藤園「お~いお茶新俳句大賞」