苦投の田中 スプリットの投げ時で見えた「組み立て」の違い
「フー・イズ・ジィス・ガイ?」(この男は誰?)
地元紙は150キロを出せない田中将大の開幕戦ピッチングをこう揶揄したが、本当に球速だけが問題なのか。
昨夏、右肘内側側副靱帯の部分断裂が発覚。幸いトミー・ジョン手術(靱帯の移植)の必要はなく、選択したPRP治療(多血小板血漿を患部に注射する再生医療)が功を奏し、今季の開幕投手に抜擢された。が、ここまで2試合で9イニング7失点(防御率7.00)。メジャー実績がないのに年俸20億円以上の7年契約で入団しているのだ。先物買いは失敗か? 活躍が昨年だけなら給料ドロボーと言われても仕方ない。
出力不足は明らかだ。昨年と今年で2試合目の球速を比較しよう。
12日のレッドソックス戦のストレートは平均147キロ。151キロから4キロ下がっている。最速は149キロ。昨年は155キロも出ていた。
昨年後半戦は2試合しか投げておらず、今年のキャンプは肘の様子見だった。慎重なプログラムに従うのだから肩の仕上がりは途上なのだろう。しかし、シュート系のツーシームは平均147キロ出ており、昨年の149キロとほとんど変わらないのだ。靱帯の回復が本物なら、球威の復活は時間の問題ではないか。