苦投の田中 スプリットの投げ時で見えた「組み立て」の違い
■昨季は「カウント稼ぎ」、今季は「勝負球」
代名詞のスプリットは使い方に課題があると思う。もともとストライクゾーンから膝下ボール球へと外れる変化球だ。先発投手にとっては凡打に取るかファウルでカウントを稼ぐのに有効だ。
田中の開幕2試合目、投じた18球は追い込んでからの勝負球に15球を使った。しかも、ワンバウンドが11球もあり使い物にならなかった。見逃されカウントを悪くし、四回には暴投から失点。二塁手ドリューの送球エラーは投球リズムの悪さが誘ったと見た。
昨年メジャー初完封を飾った5月のメッツ戦(4安打8奪三振の6連勝)はどうだったか。スプリットは28球。そのうち勝負球はわずか8球。ほとんどをカウント稼ぎに使い、打者は追い込まれてはスプリットの幻影におびえ他の球種を凡打した。この時、もっとも空振りを奪ったのはスライダーだった。
ツーシーム、カッターでも確実にストライクが取れる制球力が田中の魅力だ。球威が戻るまで勝負球は固定せず、スプリットとカーブを間に挟んだ辛抱のコンビネーション投球が続くだろう。