スクープドッグ咆哮記「ASKA」編
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<最終回>いつかASKAが更生し、未発表の“あの歌”を聞かせてくれることを心から願っている
2014年7月3日の夕刻、警視庁東京湾岸署の上空には数機のヘリが爆音をたてて旋回していた。数百人の報道陣とファンが、その下でASKAが姿を現すのを待っていた。私もそのひとりだった。 午後4時…
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<第29回>覚醒剤疑惑をスクープして9カ月。ついにASKAが逮捕された
「竜太郎さん、ASKAがパクられた!」 「え!? どこで?」 「南青山のマンション。女と一緒。その女、誰か知ってる?」 「申し訳ないんだけど、本当に知らない」 2014年5月…
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<第28回>「ね、シャブ中には作れない曲でしょ」一本のデモテープを僕に聞かせたASKAは笑顔だった
地を這う取材の末、ASKAの薬物疑惑は最終局面に到達した。ASKA本人から連絡があり、自宅で直接、疑問の数々をぶつける機会を得たのだ。 「薬物を使用したことはないんですね」 目の前にい…
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<第27回>ASKAは私の質問にあきらかに動揺していた。暴力団との関係が根深いことを確信した
盗撮ビデオをばらまくぞ、と脅迫する暴力団組員の山本を「悪いやつには思えない」「刑事告訴するつもりはない」というASKA。いったいなぜなのか。 「山本と最後に会ったのは今年の5月、そう5月だった…
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<第26回>「暴力団に盗撮ビデオで脅されたなら、恐喝で刑事告訴するべきですよ。なぜしないんですか」
「ああ、ビデオの話?」 私が質問を向けると、嫌がるどころかすぐに心得たASKA。手前のコーヒーをひと口飲んで、落ち着いた口調で語りはじめた。 「今年1月のことです。山本(仮名)が僕の自宅…
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<第25回>「彼の小指がないことに本当に気づかなかったんですか?」
「山本が持ってきたのはアンナカ」 ASKAが繰り返しそう説明するたびに、私は違和感をおぼえていた。これまで何度も薬物事犯の取材をしてきた経験から、そのアンナカがどういう薬か理解していたからだ。…
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<第24回>「アンナカが僕の認める汚点ですよ。薬事法違反ですよね。そこに関しては認めます」
「ASKAさんに山本が覚醒剤を手配していたという証言がありますが、それは事実なんですか」 山口組系暴力団の山本(仮名)との関係を認めたASKAに対し、核心となる質問を浴びせた。 いった…
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<第23回>覚醒剤疑惑を報じて2カ月。ASKA本人から「一度会いたい」という連絡があった
JR有楽町駅のホームで電車を待っていると電話が鳴った。M記者からだった。 「報告があります。ASKAから連絡がありました」 「ほんとに!?」 「はい。知らない携帯番号で、誰かと思っ…
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<第22回>所属事務所ホームページで一方的に発表されたASKAの“反論”
週刊文春が報じた「シャブ&飛鳥の衝撃」は、まさにタイトル通り受け止められた。芸能を扱うスポーツ紙やワイドショーはもちろんのこと、一般紙やテレビの報道が一斉に動き、ASKAの自宅前には数十人の報道陣が…
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<第21回>原稿は完成。しかしどうしても書きたい部分が抜けていた
締め切り当日、すでに12時間以上パソコンに向かっていた。M記者やK記者と連絡を取り合いながら、資料や取材メモをめくり執筆に専念する。 K記者から電話で報告が入った。 「ずっと自宅前にい…
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<第20回>「おたくがやっているASKAのネタだけど、あれは完全な間違いだから。世間で恥をかくよ」
「あのさあ、もしかしていま、ASKAのこと探っているんじゃないの。どんなことやってるの?」 あるジャーナリストからの電話だった。 この手の案件では、“ゴロ”と呼ばれる連中が暗躍する。本…
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<第19回>経験上、スクープだと浮ついていると足をすくわれる
ASKAの薬物疑惑の取材は大詰めを迎えていた。証拠ビデオの存在にまでたどりつき、暴力団から脅迫されていることをASKA自身が認めたのだ。 私は売人の山本(仮名)に接触することを何度も試みた。…
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<第18回>「タイトルは『シャブ&ASKA』で決まりだ」編集長が興奮気味に言った
「タイトルは『シャブ&ASKA』で決まりだ」 編集長が興奮気味に言った。 ASKAに直撃後、私とデスクと編集長で会議をし、編集方針を決めた。どぎついタイトルに一瞬、躊躇したが、絶大なイ…
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<第17回>「ASKAは暴力団とお金の貸し借りで揉めていると認めました」
「ASKAを自宅前で直撃しました!」 M記者の報告を聞いて、私は跳び上がらんばかりに喜んだ。これで記事に向けて大きく前進できる。 その日の夕方、編集部で私たちは合流し、直撃時の様子を細…
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<第16回>「山口組からゆすられていると聞いてますが」
これから病院に行くというASKAは、なぜか“仁王立ち”だった。 シャープなイメージのはずが、目の前のASKAはかなり太っていた。いや、太っているというより、顔だけが重力に逆らってパンパンに張…
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<第15回>M記者の取材にASKAは「もうこんな感じなんれすっ!」と呂律が回らず…
私と若手のM記者は、深夜編集部で打ち合わせたあと、仮眠をとり早朝から動いた。私はこれまでのネタ元の証言と証拠を押さえにかかり、ASKA直撃をM記者にまかせた。 都内の高級住宅街。ASKAの豪…
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<第14回>「大スクープだ」興奮冷めやらぬ編集長の号令
クリーンでスキャンダルとは無縁に思えたASKAの薬物疑惑。私はあらゆる人脈を駆使し、ついにASKAが覚醒剤を使用する姿を隠し撮りされた映像の存在にまでたどり着いた。 「竜太郎さん、どうでしたか…
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<第13回>「もう、やめられないよ。遊びというレベルじゃない。“ヤク中”だ」
歌舞伎町を根城にするB氏との取材は緊張を強いられた。こちらの質問をかわす態度も、闇社会に精通している人独特のものだった。 長い沈黙。しかしそれを破ったのはB氏だった。 「200万」 …
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<第12回>「ASKAはヤクザをなめていたんだろうな。便利屋扱いしてわがまま放題。だから隠し撮りされた」
ASKAの“覚醒剤ビデオ”を追ってわかったのは、彼が売人に恨まれていたことだった。 裏社会に詳しいA氏は、気難しい表情で説明を続けた。 「ASKAはきっとヤクザをなめていたんだろうな。…
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<第11回>「ヤクの売人にとってASKAさんは“太い客”でしょう」「そう、なにもなければ」
ヤクの売人が取引現場を盗撮し、それをネタに脅迫する――。普通ならば考えられないような事件はなぜ起こったのか。 「ASKAに対する恨みだよ」 闇社会に精通するネタ元のA氏はこう語った。 …