五木寛之 流されゆく日々
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連載10953回 新聞記事の片隅から <3>
(昨日のつづき) 今朝も6紙を、時間をかけてじっくり読む。ほぼ2時間30分ほどの間に、朝日、毎日、読売、産経、日経、そして東京の各紙を眺めるのが最近の日課になった。夕方、日刊ゲンダイを30分ほどか…
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連載10952回 新聞記事の片隅から <2>
(昨日のつづき) 数日前の新聞に、世界各国の貧困率のことが出ていた。 <2017年のOECDの経済報告書によると、日本の相対的貧困率は、日米欧などの先進国7カ国中で、米国に次ぐ2番目の高さだった…
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連載10951回 新聞記事の片隅から <1>
毎朝、新聞を眺めていると、不思議に思われることや、腹の立つこと、そして思わず笑いだしたくなるような出来事が毎日のように報じられている。 コロナの流行以来、まともにダメージを受けた人たちや企業が数…
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連載10950回 コロナ情報の七不思議 <5>
(昨日のつづき) 東京都内の知人から、 「10万円、やっと届いたぞ。Go To キャンペーンの前にきたら旅行にいこうと思ってたんだが」 と、驚いたような電話があった。最後の最後まで本当に10…
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連載10949回 コロナ情報の七不思議 <4>
(昨日のつづき) 新型コロナウイルス対策の常識では、まず手洗い。そしてマスクの着用。さらに「密」を避ける。と、いうのが三大基本とされている。 しかし、異論、新論というのはどの世界にもあるものだ…
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連載10948回 コロナ情報の七不思議 <3>
(昨日のつづき) 今朝の毎日新聞の朝刊に、ほかの新聞にはのっていない記事が出ていた。 社会面の左下のほうに一段の見出しで、 <飼い犬2匹陽性> という小さな記事だ。 ペット保険大手の…
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連載10947回 コロナ情報の七不思議 <2>
(昨日のつづき) ラテンアメリカとインドが、さらにコロナの被害を加速させている。 トップのアメリカは別格として、死者数のランクではブラジルが9万3563人で世界第2位。3位にメキシコが上ってき…
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連載10946回 コロナ情報の七不思議 <1>
テレビのニュースショウや報道番組を見ていて、最近、素朴な疑問を感じるときがある。 その一つがPCR検査のことだ。この欄でも初期の頃からそれについて繰り返し書いてきた。 どうしてPCR検査をど…
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連載10945回 コロナの深き淵より <5>
(昨日のつづき) きょうは午後4時から文春本誌のインターヴュー。松井編集長、池内氏、西氏の3氏と2時間半ほどマスクごしの対話。ご丁寧にアクリル板の仕切りまで用意してあったが、やはり話しづらいので使…
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連載10944回 コロナの深き淵より <4>
(昨日のつづき) メッカの大巡礼(ハッジ)といえば、世界最大級の宗教祭典である。イスラム教徒なら、生涯に一度は巡礼に加わるのがならわしだ。そのためには、全財産を投げうつ者もいるという。 外国か…
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連載10943回 コロナの深き淵より <3>
(昨日のつづき) この数日、北朝鮮から脱北して韓国に住んでいた男性が、再び北朝鮮に帰北したニュースが話題になっている。 問題はその男性がコロナ感染者だといわれている点だ。これまでウイルス感染は…
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連載10942回 コロナの深き淵より <2>
(昨日のつづき) 今回のコロナパンデミックの特徴は、世界各国それぞれに様相が異なることだ。 欧州、アメリカなどは嵐のようなコロナ台風だった。アジア、ことにわが国のそれは、いわば梅雨どきの天候に…
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連載10941回 コロナの深き淵より <1>
Go Toキャンペーンは、さまざまな論議をまきおこしたが、それなりに人は出ているようだ。お伊勢まいりではないが、私たち日本人は世の中の流れに乗ること自体に喜びを感じる民族のようでもある。ある意味では…
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連載10940回 変わるものと残るもの <3>
(昨日のつづき) 最近、新聞の広告で目立つのは昭和歌謡のアルバム全集のたぐいである。 よくこんなにあるもんだ、と思われるくらいに、いろんな流行歌のオンパレードだ。 流行歌というのは、一時の…
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連載10939回 変わるものと残るもの <2>
(昨日のつづき) 本当のことは伝わらないものだ、という気持ちがある。後に残されるものは抜け殻であって、真実は消えていると思ったりする。 ずっと何十年も生きてきて、「世間虚仮」という言葉は本当だ…
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連載10938回 変わるものと残るもの <1>
行きつけの町の本屋さんが、また一軒廃業するらしい。書籍の売場をへらして、文房具のコーナーを作った頃から気にはなっていたのだ。全国のお寺さんと書店が、こうして少しずつ減っていく。 時代の流れという…
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連載10937回 コロナ時代の生活革命 <5>
(昨日のつづき) 生活が変ると何が変るか。 体のコンディションか。それとも内面的な思想が変るのか。 その人間の生活習慣は、どこかで精神的なものとつながっている。一般にそういわれているし、私…
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連載10936回 コロナ時代の生活革命 <4>
(昨日のつづき) そんなわけで、私は生涯、ずっと夜型人間で通すことになるだろうと思っていた。 ところが人生は、わからないものである。コロナのパンデミックが顕在化してきた頃から、突然変異がおこっ…
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連載10935回 コロナ時代の生活革命 <3>
(昨日のつづき) 1950年代後半から68年をはさんで、70年代までは、いわば深夜の黄金時代といってもいい季節だろう。新宿の『ぼたんぬ』では、阿佐田哲也さんとよく会った。『ナジャ』には渡辺晋さん、…
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連載10934回 コロナ時代の生活革命 <2>
(昨日のつづき) 考えてみれば私の深夜生活には、少年時代の影響が大きかったような気がする。 私が生まれた昭和7年(1932年)は、満州国建国の年であり、五・一五事件の時代でもあった。 軍国…