五木寛之 流されゆく日々
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連載10200回 今日は昨日の風が吹く <2>
(昨日のつづき) 今夜のテレビ報道番組は、どの局も都議会議員選挙のニュースで花盛りである。 キャスターやゲスト・コメンテイターの発言も、ほとんど横並びといった感じ。 「ファースト優勢とは予想…
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連載10199回 今日は昨日の風が吹く <1>
日曜日は、私にとって<地獄の日曜日>である。連載の〆切りが3本重なって、眠る時間がない一日だ。 おまけに今回は都議会議員の選挙とあって、どうしてもテレビを視てしまう。 現在、都民ファーストが…
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連載10198回 インフレかデフレか <5>
(昨日のつづき) 「インフレになる」ことを「景気が良くなる」と同一視するのはどうか。 インフレで活気づくのは商売である。小さな店から大企業まで、インフレは好景気の代名詞だ。 きのう10円で売…
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連載10197回 インフレかデフレか <4>
(昨日のつづき) 私は経済学どころか、経済そのものについても全くの無智の輩である。 しかし経済の理論は知らなくても、日々、金銭とモノとを消費しながら生きている。その立場から自分の実感を語ってい…
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連載10196回 インフレかデフレか <3>
(昨日のつづき) 私がタクシーというものに戦後はじめて乗ったのは、1950年代か60年代のはじめ頃だった。ゲルピンの身だったが、友人が急病になって病院へ運んだのである。 タクシー代は、大事にし…
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連載10195回 インフレかデフレか <2>
(昨日のつづき) 最近のタクシー事情の続きである。 かつてバブル時代の流行語のひとつに<乗車拒否>というのがあった。タクシーのほうで客を取捨選択する。気に入らない客や、近距離の客は乗せない。そ…
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連載10194回 インフレかデフレか <1>
このところ80年代を回顧する記事や番組などをよく目にするようになった。 たしかに1980年代というのは、エネルギーもあり、バラエティーに富んだ面白い時代だったと思う。 80年代後半のバブル経…
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連載10193回 健康論の移り変り <5>
(昨日のつづき) ギックリ腰のほうは少し楽になったが、あいかわらず左脚の痛みが激しい。 歩くときに左脚をかばうので、そのせいで左側の腰の筋肉が炎症をおこしてしまったのだ。 ベッドに寝そべっ…
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連載10192回 健康論の移り変り <4>
(昨日のつづき) 魔女の一撃から3日目。 窓ガラスが異常に大きな音を立てて鳴っている。カーテンを締め切ったままなので外の様子はわからないが、どうやら激しい雨風にあおられているようだ。 この…
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連載10191回 健康論の移り変り <3>
(昨日のつづき) したり顔で健康論などを書いているうちに、ギックリ腰が再発して、ほとんど歩けなくなってしまった。 左脚の痛みをかばって、不自然な歩き方をしていたせいだろう。 以前から年に2…
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連載10190回 健康論の移り変り <2>
(昨日のつづき) 戦後、しばらくのあいだは健康論はジャーナリズムのテーマではなかった。とりあえず食って生きることが、最大の課題だったからである。 バクダンと称するアルコール飲料を飲み、ヒロポン…
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連載10189回 健康論の移り変り <1>
健康論にも流行がある。そもそも健康論がジャーナリズムで大きな位置を占めるようになったのは、高齢化社会の影響だろう。 100歳以上の長寿者が5万人をこえたのは、もうかなり前のことだ。 「人生五○…
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連載10188回 今は昔のものがたり <5>
(昨日のつづき) 灘さんから作詞を頼まれたときに、思ったのは、こういうことだった。当時のことを書いた『流されゆく日々』(1978年)の文章の続きである。 <(承前)小生の見るところ、小島さんの…
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連載10187回 今は昔のものがたり <4>
(昨日のつづき) 麻雀の席で、小島武夫さんからレコードの歌詞を頼まれた話の続きである。 1978年8月の日刊ゲンダイ『流されゆく日々』に書いた文章だ。 <(承前)初めは冗談だと思っていました…
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連載10186回 今は昔のものがたり <3>
(昨日のつづき) 1978年8月1週の『流されゆく日々』の中にも小島武夫さんの名前がでてくる。『昔の名前で書いてます』というふざけた題名だが、小島さんのレコードの歌詞を書いたいきさつが出ているので…
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連載10185回 今は昔のものがたり <2>
(昨日のつづき) CSテレビの小島武夫さんの特番にちょいと出演した時の話の続きを書く。 「イツキさんは小島さんと最初どんな具合いで出会われたんですか」 と、最初に質問された。 「そうですね…
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連載10184回 今は昔のものがたり <1>
先週、麻雀名人の小島武夫さんと何十年ぶりかで会った。 小島さんは、阿佐田哲也さん亡きあとの麻雀界を支える重鎮である。 出身が私と同じ福岡とあって、若い頃から或る種の親密感をおぼえていた。 …
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連載10183回 ある若い人との雑談 <5>
(昨日のつづき) 「よく言われることだけど、最近、活字を読む人が少くなったそうだね。きみたち若い人の目から見てどうですか」 「いや、そんなことはないと思います」 「K君は?」 「活字を読む人が…
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連載10182回 ある若い人との雑談 <4>
(昨日のつづき) 「ところでイツキさんは、最近、体調のほうはどうですか。なにか特別な健康法とかやってらっしゃらないんですか」 「相変らずだね。もっとも、この数年ずっと左脚の調子が悪くて苦労してるん…
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連載10181回 ある若い人との雑談 <3>
(昨日のつづき) 「若いお二人にききたいんだけど、最近、高齢者の運転事故がしきりに問題になってるよね」 「新聞記事などでも、必ず年齢を見出しに入れるとか、プレッシャーが強まってます」 「そう。先…