メディアが報じない原発禍の街の真実
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<第15回>5年間で福島県の震災関連死は2000人超
東北新幹線のJR福島駅で下車。福島市と南相馬市間は川俣町・飯舘村経由のバスを利用する。この5年間に私は車内で多くの人と出会い、いろんな光景を目にしてきた。 原発禍の街を取材にきた外国人記者や…
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<第14回>被災地への帰還・移住策に知恵を絞る自治体
原発事故で人口が流出し、高齢化率が急上昇した原発禍の街は、拍車がかかる過疎化を食い止めようと躍起になっている。 おらの村に移住しませんか――福島第1原発から30キロ圏内に位置する川内村は人口…
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<第13回>原発ADRで東電に和解拒否され訴訟に踏み切る住民
「ウソつき東電のことをガンガン書いてくれ!」 浪江町から避難する同年代のAさんが私に訴える。原発事故後、5年も郡山市に住み、「故郷を捨てた」と苦笑しながらも、本心では怒っている。東電のホームペ…
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<第12回>南相馬・20ミリシーベルト撤回訴訟への対応
南相馬20ミリシーベルト撤回訴訟――。じっと耐えていた南相馬市の住民808人がついに行動を起こしたのは昨年4月。年間被曝線量が20ミリシーベルトを超える特定避難勧奨地点の解除(14年12月)を違法と…
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<第11回>母子避難者への住宅無償提供も打ち切りへ
福島では駅前や商店街などに「ようこそ!福島へ 福が満開、福のしま。」と書かれたのぼりが何本も立っている。すでに復興は終えたということか。 しかし、この惹句を目にするたびに思う。今や難民同様の…
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<第10回>ジュニアからもゴルフを奪った東京電力
枯れたセイタカアワダチソウなど雑草や松の木が生い茂っている。一見単なる荒れ地だが、5年前まではそこは鹿島カントリー倶楽部(南相馬市=写真)のゴルフコースだった。 鹿島CCは福島第1原発から3…
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<第9回>大熊町じじい部隊 「墓地だけでも除染を」と直訴
震災から丸5年を2日後に控えた3月9日。大熊町の坂下ダム施設管理事務所に詰める「じじい部隊」を訪ねた。隊長役の鈴木久友さんはしんみりと語る。 「原発事故当時を思い出すとつらい。避難した体育館で…
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<第8回>被曝覚悟で大熊町をパトロールするじじい部隊
人呼んで、「じじい部隊」。 ほぼ全域が立ち入り禁止の帰還困難区域の大熊町。役場職員ОBを中心に編成されたじじい部隊の意気込みは十分だ。防護服姿で昼間は町内をくまなくパトロール。一時帰宅の住民…
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<第7回>10万人近くが避難している福島で“復興五輪”の愚行
楢葉町と広野町にまたがるJヴィレッジに行ってみた。11面あるサッカー場は廃炉作業に従事する4000人以上の作業員の駐車場と化し、石ころだらけ。敷地内には廃棄物や資材が積まれている。1年前と同じ光景だ…
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<第6回>4人世帯で1億1000万円…賠償金で家族がバラバラに
原発事故後、離婚する夫婦が急増している――という声も何度か聞いた。そこで、「脱原発都市宣言」と「核兵器廃絶平和都市宣言」を掲げる南相馬市役所に確認すると、事故前の2010年度に受理した離婚件数は18…
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<第5回>日本一パート代が高い牛丼店
3・11以来、私は月に1回の割合で故郷・南相馬市に出向く。滞在中の洗濯はコインランドリーを利用するが、そこで出会う主婦たちが気軽に情報を提供してくれる。 「夜は除染作業員もぞろぞろ来て、放射能…
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<第3回>復興作業員に怯える住民
昨年12月初旬。19歳の除染作業員が女子高生をJR原ノ町駅(南相馬市)のトイレに連れ込み、暴行未遂で逮捕された。その4カ月前には同市で除染作業をしていた男が、大阪府寝屋川市で中学生2人を殺害している…
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<第2回>避難している老人の「3K」とは?
「避難している年寄りの“3K”を知ってっか。『健康か?』『金はあっか?』『孤独でねえが?』の3つだ。5年も仮設暮らしの私らの話題といえば、そんなことばっかりだ。いずれは老人ホームに入りたいけど、いわき…
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<第1回>深刻な医師、看護師不足で病気ひとつできない
震災から丸5年。ひとつの区切りとあってメディアは3・11前後に大騒ぎした。ところが、“震災週間”を過ぎたら何事もなかったかのように報じられなくなった。しかも、報道そのものも放射能汚染や避難民がいまだ…