今最も客が呼べる講談師・神田松之丞
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「将来は伯龍を継ぎたいという望みを持ってます」
落語芸術協会としては次世代のスターをつくるべく松之丞を抜擢で真打ちに昇進させようとする動きがある。たいへんけっこうなことで、寄席に客を呼ぶためにも「売り出さなければならない逸材」であることは確かだ。…
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後輩の前座には多めの現金包み「何か食べて」と渡すだけ
一昨年、松之丞は結婚した。相手は演芸のプロデュースをするイベント会社の経営者だ。 「僕が前座の頃から会を開いてくれた人です。最初の会場は小さな喫茶店で、客は8人でした。当時から相談相手だったの…
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講談と落語は耳だけで聞くほうがいい芸能でラジオ向き
松之丞はラジオのレギュラー番組を持っている。TBSの「問わず語りの松之丞」という10分の番組だ。 「ラジオは学生時代から聞いている熱心なリスナーでしたから、リスナーの気持ちがわかるんです。ラジ…
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「起きてる間は講談のことだけ。今の時期はそれでいい」
昨年11月、国立演芸場で開催した芸歴10周年記念の会で、松之丞は初日に「小猿七之助」を演じた。立川談志が5代目神田伯龍のレコードを聴いて感動し得意ネタにしていたもので、談志を敬愛する松之丞にとって思…
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今の高座は「昇進までの過程のドキュメントとして見て」
講談を聴いたことがない読者のために、落語と講談の違いを記しておく。落語は「しゃべる」で、講談は「読む」。落語は会話、講談は地の文を中心に噺を進める。落語家の小道具は扇子と手拭いで、講談師は右手で張り…
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若い人が僕の講談を面白がって聴いてくれるのがうれしい
落語芸術協会の前座修業期間は4年と決まっている。2012年6月、松之丞は二つ目に昇進。日本講談協会の講談師としては前月に昇進している。 「その開放感たるやなかったですね。前座仕事をしないですむ…
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談志の訃報に「膝から崩れ落ちるような思いがしました」
松之丞が所属する落語芸術協会は会長が桂歌丸、副会長が三遊亭小遊三で、顧問に桂米丸、幹部理事には桂米助、竹丸、春風亭昇太らがいる。 「師匠方が優しくおおらかに接してくださいました。芸協には『いろ…
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次に男の弟子が入ったら松之丞とつけようと決めていた
2007年10月、松之丞は入門を志願する松鯉との面談に臨んだ。 「最後に『どこか他の一門に行ったことはないよな』と聞かれたので、『ありません』と答えたら、『じゃあ、真っさらだな』とおっしゃって…
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談志の「らくだ」を聴いて「帰り道、鳥肌が立っていた」
神田松之丞こと古舘克彦は1983年に池袋で生まれた。大学受験に落ちて浪人することを決めた2003年3月、立川談志の独演会を見に行き「らくだ」を聴いて衝撃を受けたという。 「震えるような出来でし…
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談志が言っていた「いい意味の狂気」を持っている若手
「大いに語る」シリーズにはこれまで9人の落語家が登場したが、講談師は初めてだ。というのも、私が演芸評論家として「今年最もブレークしそうな若手芸人」を選んだ結果、神田松之丞になったからである。 …