天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」
-
心臓病患者は合併症を抱えている
心臓病の患者さんは、他に何らかの病気を抱えている人が圧倒的に多く見られます。65歳以上の高齢者になると、合併症がない患者さんはほとんどいません。とりわけ高血圧や動脈硬化、糖尿病といった生活習慣病は、…
-
60歳を超えた心臓は健診だけでカバーできない
定期的に職場や自治体の健康診断を受けているという人も多いでしょう。ただ、心臓病を早期発見するには、それだけで十分とはいえません。 生まれつき心臓にトラブルを抱えている先天性心疾患では、特徴的…
-
時間の巻き戻しに挑戦 大阪大の心筋再生治療
今年6月、大阪大学の澤芳樹教授のチームが、心筋シートを使った再生医療の手術を行いました。心臓が肥大化して心機能が低下する拡張型心筋症を患っている11歳の女児の足の筋肉から骨格筋芽細胞を取り出し、シー…
-
内科治療より手術した方が安心できるケースも
心臓手術の“入り口”は、実際に手術を行う心臓血管外科ではなく、循環器内科(または循環器科)になります。「ひょっとしたら心臓病かもしれない」というとき、患者さんはまず循環器内科で検査を受け、診断や治療…
-
3年後に再会した70歳の患者が連れていたのは…
心臓手術というと、何やらリスクが高くて難しいものといったイメージを抱いている人も多いのではないでしょうか。たしかに外科手術では、手術によって死亡したり、後遺症が残ったり、感染症になる危険性が少ないな…
-
複数の「弁」を同時に手術するとこもできる
心筋梗塞や狭心症などの「虚血性心疾患」と同じくらい患者さんが多い心臓病が「弁膜症」です。 心臓の中で、血液が効率よく一方通行で流れるように調整している「弁」がうまく働かなくなる病気です。心臓…
-
深夜の緊急手術で解離性大動脈瘤に対応
前回の「虚血性心疾患」に続き、今回はこのところ増えてきている「大動脈疾患」を取り上げます。 大動脈は体の中で最も太い血管(直径2~3センチ)で、心臓から全身に血液を送り出す重要な役割を担って…
-
冠動脈バイパス手術は患者に医療安全を提供
手術が必要になる心臓病は、大きく分けて5つあります。①「虚血性心疾患」②「弁膜症」③「大動脈疾患」④「心臓腫瘍」⑤「先天性心疾患」です。 今回は、中でも患者さんが多い①「虚血性心疾患」の手術…
-
未熟な心臓外科医を避けるための目安
日本には、対人口比で見ると心臓外科医が十分すぎるほどたくさんいます。ただ、その多くは世界水準の手術スピードに到達していませんし、レベルのバラつきがひどいのが現状です。 リスクが低い患者さんに…
-
左心耳縫縮術が脳梗塞を防ぐ
2年前、狭心症を患っておられた天皇陛下の「冠動脈バイパス手術」に携わらせていただいた時、心臓を動かしたままの状態で行う「オフポンプ手術」を選択したことは、先週お話ししました。 その際、実はも…
-
オフポンプ手術が負担を軽減させる
12年2月、天皇陛下の心臓手術に携わらせていただきました。 陛下は狭心症というご病気で、心臓に栄養や酸素を送る冠動脈3本のうち、2本の血管が狭くなっている状態でした。このままでは、心臓の筋肉…
-
手術の賞味期限をいかに延ばすか
私が心臓の手術を手掛け始めたのは、今から25年ほど前になります。当時と比べ、今の心臓手術が大きく進歩した点が「耐久性」です。 人工弁などの人工材料もそうですし、バイパス手術の時に患者さんの体…
-
「はやい、安い、うまい」が患者を救う
「はやい、安い、うまい」――。患者さんの負担をできるだけ減らすため、私が手術でモットーにしていることです。 中でも「はやい」、つまり手術時間の短縮は、患者さんの術後の回復に大きく影響してきます…