遺伝子治療薬はここまで来ている
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遺伝子の本体「核酸」を用いて遺伝子発現を制御する画期的な薬
今回は最も新しい遺伝子治療薬を紹介します。「デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)」に対する「ビルテプソ」(一般名ビルトラルセン)という薬で、2020年3月に承認されたばかりです。 筋ジス…
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原因遺伝子が増えて発症する病気にsiRNAが特効薬になる可能性
遺伝子に関連した病気は、原因となる遺伝子が「質的」に変化を起こす場合と「量的」に変化を起こす場合があります。 量的な変化をもたらす場合、増える(過剰になる)ケースと減る(不足する)ケースがあ…
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「siRNA」を使った薬剤に新型コロナ治療薬としての期待が
遺伝子治療薬は、病気の原因になっていることが明らかな遺伝子に対し、不足している場合は「補う」、過剰な場合には「抑える」ことによって病気の治療を行うものです。 それらを外部から「薬」として投与…
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目的の遺伝子を組み込んだDNAを患部に注射し新たな血管を
今回は、遺伝子の本体である核酸(DNAやRNA)そのものを薬として用いる遺伝子治療薬を取り上げます。 「コラテジェン」(一般名ベペルミノゲン ペルプラスミド)という薬は、2019年9月に発売さ…
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ウイルスと同じ「核酸」を入れて遺伝子を増殖させる治療薬
新型コロナウイルスで注目されている「ウイルス」ですが、ウイルスの増殖と遺伝子治療薬は概念的に似ているところがあります。 そもそもウイルスとは何かというと、「核酸」(DNAまたはRNA)という…
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PCRだけではない 遺伝子はさまざまな検査に応用されている
新型コロナウイルスの騒ぎでよく耳にするようになった「PCR検査」は、遺伝子検査の一種です。PCR法という特定の遺伝子を増幅する方法で、微量な遺伝子でも検出できる技術であることから、ウイルスのような微…
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体内で必要な遺伝子を作り続ける新薬は生涯に1度の投与で済む
「ウイルス」という単語を耳にしない日はないほど、世間は新型コロナウイルスの話題一色です。 前回、「デマに振り回されないようにしましょう」と注意喚起した直後、風説によって小売店からトイレットペー…
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ウイルスは人類の脅威である一方医療の発展にも役立っている
新型コロナウイルス感染症(COVID19)の騒動がますます過熱しています。デマや都市伝説のような誤った情報に振り回されたり、過度な反応をすることなく、落ち着いて対応したいものです。 コロナウ…
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新型コロナ検査で使われるPCRはDNAを増幅させる偉大な技術
新型コロナウイルス騒動は、終息するどころか患者数がうなぎ上りに増えているようです。連日の報道でよく目にする「PCR検査」ですが、詳しい検査の内容は報じられていません。 PCR検査に用いられて…
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新型コロナウイルス 従来型との違いは「遺伝子の構造」
「新型コロナウイルス」の騒動はまだまだ収まりそうもありません。そこで今回はウイルスと遺伝子についてお話しします。ウイルスやその治療には、「遺伝子」が密接に関連しているのです。 新型コロナウイル…
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「キムリア」はすべての白血病に対して使えるわけではない
遺伝子治療薬「キムリア」についてもう少し詳しくお話しします。 現在、日本国内で販売され、使われている遺伝子治療薬は4つの疾患に対する4種類の薬剤があります。その中でも、キムリアは「自分の血液…
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遺伝子治療薬を使った「CAR-T療法」はダブルで画期的
難治性の白血病に対する遺伝子治療薬「キムリア」(一般名:チサゲンレクルユーセル)についてもう少し詳しくお話しします。 キムリアは、他の遺伝子治療薬とはまったく別物で、「自分の細胞」が「薬」に…
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難治性の白血病の遺伝子治療薬は「患者自身の血液」が薬に
実際に医療現場で使われている遺伝子治療薬の中から、今回は難治性の白血病の治療に対する遺伝子治療薬である「キムリア」(一般名:チサゲンレクルユーセル)について解説します。キムリアは「CAR―T(カーテ…
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最高額の薬はウイルスを使って遺伝子を細胞の核まで届ける
「脊髄性筋萎縮症」(SMA)に対する遺伝子治療薬の解説を続けます。前回は、2種類ある遺伝子治療薬「スピンラザ」(一般名:ヌシネルセン)と「ゾルゲンスマ」のうち、スピンラザについてお話ししました。スピン…
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画期的な薬の開発で歩けなかった子供が歩けるようになった
「脊髄性筋萎縮症」(SMA)に対する遺伝子治療薬のお話を続けます。SMAは、日本では指定難病で罹患率は10万人に1~2人です。 SMN1遺伝子が明らかな原因遺伝子である先天性疾患ですが、これま…
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対症療法だけだった難病が遺伝子治療薬で治療できるように
これまで、遺伝子治療薬の基本的な仕組みや開発の背景についてお話ししてきました。今回からは実際に医療現場で使われている遺伝子治療薬を紹介していきます。 一口に遺伝子治療薬といっても、いくつかの…
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国内では4種類 遺伝子治療薬で治療できる病気はまだ限定的
遺伝子治療薬について理解を深めるため、これまで遺伝子治療の背景を説明してきました。 現在、国内で使われている遺伝子治療薬は4種類で、海外を含めても5種類です。また、対象となる疾患や症状も4種…
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核酸を安定させる技術進歩で遺伝子治療薬開発が大きく前進
遺伝子治療薬が急速に発展してきた理由として、前回は「遺伝子の解析技術の向上」についてお話ししました。今回は「遺伝子治療薬を製剤化する(薬として安定で安全なものにする)技術の向上」について説明しましょ…
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技術の進歩で薬の効果や副作用を予測できるようになった
近年、遺伝子治療薬が急速に発展してきた主な理由として、①遺伝子の解析技術の向上と、②遺伝子治療薬を製剤化する(薬として安定で安全なものにする)技術の向上があげられます。 まず発展してきたのは…
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2万種の遺伝子から病気の原因遺伝子を同定するのは難しい
遺伝子治療薬は、病気を根本的に治すことができる夢の薬のようなイメージを抱いている人も多いでしょう。なぜ、そんな夢の薬がこれまで開発されてこなかったのでしょうか。それにはさまざまな困難がありました。 …