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「Q&A SDGs経営」笹谷秀光著

 いま話題のSDGs(持続可能な開発目標)。17の目標と169のターゲットで構成され、2030年までが達成目標。ではどうやってビジネスにするのか?



 これまでのCSR(企業の社会的責任)などは単なる掛け声だったが、SDGsは違う。ESG(環境、社会、企業統治)への要請が高まり、SDGsへの企業の貢献度を指標として株価に影響するようになったのだ。これによって一気にSDGsは企業業績とコミットするようになり、たちまち市場の関心の的となったのだ。

 本書は農水官僚、環境省大臣官房審議官など、長年にわたって日本の環境問題の前線にいた著者がCSR/SDGsコンサルタントとして、SDGs経営のイロハからトップの役割、戦略技術、さらに地方創生ビジネスへのアドバイスなど多彩な論点を解説する。

 SDGsビジネス本は安直な解説本も少なくないのだが、本書はきわめて実践的で具体的。企業の取り組みについてもトヨタ自動車、横河電機、自身が役員として迎えられたことのある伊藤園、住友化学、オカムラなど各社の事例が実名で多数紹介される。安価なため世界中で使われているものの環境問題も起こしているパーム油についてなど、最新の認証の実態をふまえてわかりやすく解説してくれる。質の良いQ&A集だ。

(日本経済新聞出版社 1500円+税)


「1冊で分かる! ESG/SDGs入門」大森充著

 これからESGやSDGsを始めようとする企業にとって役立つことは何か。寄付やボランティアなどを漠然とした好意で始めるのではなく、自社の事業がどんな社会の実現に貢献するのかを考えることが大事だ。

 たとえばサントリーなら天然水製品から「水のサステナビリティ」として、全世界の自社工場での水使用を30年後までに半減し、逆に取水量以上の水源や生態系を確保する、という目標を掲げている。ほかにもアップルや高島屋、花王、セイコーエプソンなどの実例を豊富に紹介。SDGsで新規事業を立ち上げるときの発想法なども実践的で役立ちそうだ。

 著者は日本総研の若手コンサルタント。

(中央公論新社 2200円+税)

「60分でわかる!SDGs超入門」バウンド著

 本を開くとまず目にするのが、事業を機能ごとに分解し、どこで付加価値が生まれるかを可視化したバリューチェーン・マップ。企画・設計の段階から調達、生産・製造、輸送、販売、そして最後に消費・使用・廃棄にまでいたる流れをわかりやすく明示した表だ。梱包材の重量やサイズ次第で、輸送コストから資源リサイクルの配慮などがガラリと変わることが一目でわかる。要はゴミの分別収集と同じで、あらゆる次元でのコスト削減を発想の段階から徹底させていくことが肝心なのだ。

 一見して編集プロダクションがまとめた手軽な入門書とわかる作りだが、ちょっとした工夫で効果の高い実用書になっている。

(技術評論社 1080円+税)

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