週間読書日記
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佐藤一磨(拓殖大学政経学部教授)
1月×日 法事のため新幹線での移動中にトイアンナ著「弱者男性1500万人時代」(扶桑社 1012円)を読む。読み進めると、「弱者男性」とは単にモテない人を指すわけではなく、介護していて自由が利かない人…
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森朗(気象予報士)
2月×日 仕事上カタカナまみれになることが多い。気象の専門用語ならまだしも、ビジネス用語や情報技術用語になると、ついていけないどころかその場で呆然としてしまう始末。これって日本語で表せないものだろうか…
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冲方丁(作家)
1月×日 コロナ禍の自粛生活で体重が増えた人が周囲に多い。かくいう私も、ろくに出歩かず、自宅で好きな物を食べ、好きなだけ酒を飲むうち、8キロ以上増えた。一張羅のスーツがきつくて着られなくなり、何年も無…
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加来耕三(歴史家・作家)
1月×日 三重県伊賀市で、忍者にまつわる講演を行った。 日本人には思い込みの強い人が多く、「忍者」という単語は、戦後に定着したもので、中世に使われた「忍(しの)び」が江戸時代に「忍びの者」とい…
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羽鳥好之(作家)
1月×日 トランプ米大統領が早々に暴言妄言をまき散らしている。この男の頭の中は一体どうなっているのか、改めて考え込んでしまうのだが、参考になる格好の書があったなあとツン読の山をかき分ける。船橋洋一著「…
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佐川光晴(作家)
1月×日 年末年始は、古山高麗雄著「フーコン戦記」(小学館 880円)を読んで過ごした。単行本の刊行は1999年。生誕100年に先立つこと2年の2018年に芥川賞受賞作「プレオー8の夜明け」を含む同名…
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石原壮一郎(コラムニスト)
12月×日 昭和に生まれて昭和に育った昭和人間のみなさん、元気でやってますか。世の中の雰囲気も価値観も大きく変わって、何かとやりづらくて仕方ないですよね。 令和の時代に、昭和人間はどう生きるか…
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谷口功一(東京都立大学法学部教授)
11月×日 大河ドラマ「光る君へ」を視聴。源氏物語が書き終えられたが、紫式部が「往生要集」を脇に「とぞ本に侍るめる」と記し擱筆したのを見て、物語の力に思いを致した。 つい先日、最終回を迎えた物…
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福島泰樹(歌人・絶叫ミュージシャン)
11月×月 経産省前、月例反原発祈祷会も9年目を迎えた。安倍晋三狙撃犯・山上徹也をモデルにした「REVOLUTION+1」に次いで、49年間の逃亡の末、本名を明かして死んだ連続企業爆破犯・桐島聡(元東…
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永井紗耶子(作家)
10月×日 江戸時代を舞台にした作品を書いているときは、同じ時代を描いた物を読むと、ついつい影響を受けてしまうので大好きだけど、見ないようにしている。しかし今、少し江戸を離れているので、ここぞとばかり…
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間村俊一(装幀家・俳人)
10月×日 浅草木馬亭。浪曲師・玉川奈々福、落語家・桂吉坊の二人会。吉坊の「本能寺」が圧巻。替わって奈々福は、御存知「平手の駆けつけ」。平手造酒と信長の最後がシンクロする。大当たり! 稀代のド…
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天笠啓祐(科学ジャーナリスト)
10月×日 久しぶりに外出した。最近はオンラインでの講演やシンポジウム、会合などが増え、外出する機会が少なくなってしまった。私の読書タイムは、行き帰りの電車の中が多い。余裕があると各駅停車に乗って、ず…
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小路幸也(作家)
9月×日 筒井功著「日下を、なぜクサカと読むのか 地名と古代語」(河出書房新社 2970円)をSNSで見かけて即購入。 いやもう〈腑に落ちる〉とはこのことか! と。古地名語源の実証研究というフ…
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高野秀行(ノンフィクション作家)
9月×日 張國立著「炒飯狙撃手」(ハーパーコリンズ・ジャパン 1390円)を読んだ。凄腕のスナイパーと定年間近の刑事が織りなす冒険ミステリー。スナイパーが炒飯作りの名手でもあり、刑事も美味いものが大好…
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須賀しのぶ(作家)
9月×日 高校野球秋の地区予選が始まった。夏の甲子園が終わったと思ったら、もう春の選抜に向けて新チームは動き出している。試合のスコアを確認しつつ、加藤弘士さんの「慶應高校野球部『まかせる力』が人を育て…
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奥野修司(作家)
8月×日 書籍の発売日が決定しているのに、まだ原稿の修正に追いまくられている。「高齢者の認知症は病気ではない」という、ちょっときわどい内容だが、ベースになったのは重度認知症高齢者たちの証言と彼らの手記…
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石田夏穂(作家)
8月×日 今年の夏はどこかに行こう、と、春先あたりから考えていたのに、またまたノープランで盆を迎えてしまった。布施英利著「人体、5億年の記憶」(光文社 1430円)を読む。本書は「つまり、人の体はなぜ…
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山崎ナオコーラ(作家)
8月×日 新幹線で北九州市へ向かう。「源氏物語」について北九州市文学館と九州芸術祭文学カフェでトークをするのが目的だ。わたしは北九州市生まれだ。とはいえ久しく訪れていないのでガイドブックを買う。地球の…
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枡野浩一(歌人)
8月×日 選者として今年4月からレギュラー出演しているEテレの番組「NHK短歌」収録日。毎回、各界の著名人をゲストに呼ぶことができるのだが、その候補として面識ある映画監督の名前をいくつか、プロデューサ…
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一ノ瀬俊也(埼玉大学教養学部教授)
7月×日 今年3月までの2年間、所属学部の管理職をしていた。一見平和な地方国立大学の人文系学部も水面下ではいろいろな事件が起こりつつあり、私の任務は学部長を補佐してそれらを未然に防ぐことだった。 …