「日本人の仏教史」五来重著

公開日: 更新日:

「日本人の仏教史」五来重著

 従来、日本の仏教の歴史は学問や思想の歴史として、さらに寺院や各仏教教団の社会的・経済的側面から主に語られてきた。本書では、そんな仏教史を、庶民信仰としての仏教という視点から解説したテキスト。

 インドで成立した仏教が日本に流伝した時期は、諸説ある中で538年説が有力。

 しかし、著者は朝鮮半島との文化的往来は3世紀から頻繁に行われており、公式の伝来「公伝」ではなく、民間ベースでの「密伝」があったと説く。なぜなら、多くの修験道の山や庶民信仰の寺院縁起に仏教公伝以前の開創や開山を主張するものが多いからだ。

 以降、日本仏教の祖師である聖徳太子をはじめ、各宗派の宗祖から高野聖や山伏などの民間僧まで取り上げ、庶民信仰としての仏教の歴史をたどる。

(KADOKAWA 1584円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    3年連続MVP大谷翔平は来季も打者に軸足…ドジャースが“投手大谷”を制限せざるを得ない複雑事情

  2. 2

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  3. 3

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  4. 4

    最後はホテル勤務…事故死の奥大介さん“辛酸”舐めた引退後

  5. 5

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  1. 6

    ドジャースからWBC侍J入りは「打者・大谷翔平」のみか…山本由伸は「慎重に検討」、朗希は“余裕なし”

  2. 7

    名古屋主婦殺人事件「最大のナゾ」 26年間に5000人も聴取…なぜ愛知県警は容疑者の女を疑わなかったのか

  3. 8

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  4. 9

    高市内閣支持率8割に立憲民主党は打つ手なし…いま解散されたら木っ端みじん

  5. 10

    《もう一度警察に行くしかないのか》若林志穂さん怒り収まらず長渕剛に宣戦布告も識者は“時間の壁”を指摘