「月草糖」坂井希久子著
「月草糖」坂井希久子著
桃の節句、居酒屋「ぜんや」では、毎年、手まり寿司をつくる。女将のお妙とお花が早朝から仕込みをしていると、お栄が調理場に入ってきた。
お栄はお妙の夫・只次郎の姪で、仕えていた大奥から叔父を頼って逃げてきたのだ。叔父のように武家から町人になりたいというお栄のため只次郎は奔走。酒問屋の升川屋の女将・お志乃に気に入られたお栄は、跡取り息子との縁談が進んでいる。昼前、ぜんやを武家の女が2人、供を連れて訪ねてきた。お栄の母と祖母、つまり只次郎の義姉と実母だった。お栄に頼まれ話し合いの席に同席したお花はいたたまれない。(「白酒」)
次々と登場するお妙の料理が人々の心を温めたり、ほぐしたり。人気時代小説「花暦 居酒屋ぜんや」シリーズ第6弾。
(角川春樹事務所 704円)