NHK大河「花燃ゆ」はないないづくし 識者は「八重の桜」の“二の舞”懸念
ただ、その分「余白」が多いのは確か。原作はなく、ドラマは完全なオリジナル。脚本は大島里美(「恋するハエ女」「ダーリンは外国人」などを担当)と宮村優子(「甘辛しゃん」「七つの会議」など)の2人が担当。さらにクオリティーを高めるため、脚本協力に複数のプロットライターを投入し、万全の態勢で臨むという。
「50回に及ぶ大河を一人で描くのは大変な作業。30代のフレッシュな大島さんと50代の手練な宮村さんの感性に加え、皆でいろいろなアイデアを出し合いたい。(幕末ものはヒットしないジンクスも)面白くするしかない。人間のドラマを描いていきたい」
制作統括の土屋勝裕氏はこう抱負を語ったが、54作目となる大河は“ないないづくし”の異色作といえる。作家の麻生千晶氏は、「これっぽっちも期待が持てない」とこう嘆く。
「テレビドラマの出来は9割方、脚本が左右する。本来なら想像力、構成力、人間を見る目……いずれも一流の作家並みのクオリティーを持った脚本家でなければ務まらないが、ここ10年以上、大河はその体をなしていない。今回の面々をみる限りでは一抹の不安を感じます。激動の幕末でサイドの女性を主役に立てるのは無謀に近い。最終話を間近にして、いまだに人物像がよく見えてこない『八重の桜』の二の舞いになりかねない」