中山七里氏「ドクター・デスの再臨」連載直前インタビュー
安楽死の法整備とビジネスを裏テーマに
今作は“カネ”という生々しくもリアルな問題を浮かび上がらせている。
「裏テーマに据えたのは安楽死の法整備とビジネスです。私は安楽死など社会問題というのは、どんな時でもビジネスチャンスになるものだと思っていて、先日のALS患者の安楽死事件などは、まさにそう。報酬は130万円とのことですが、ドクター・デスの報酬20万円は、僕の計算ではほぼ実費なんですよ。この『命と金と倫理』をどう考えるか。答えではなく考え方をストーリーの中で提示していきたいと思っているので、特定疾患や高額医療になってしまうような症状の人にスポットを当てようと思っています」
「ドクター・デスの遺産」が実写映画化され話題になっているが、意外にも映画化は初めてだ。
「最近、安楽死を請け負った医療従事者のニュースが世間を騒がせました。もうそろそろ、この国も安楽死問題に正面から向き合わなければならない時が到来したのかもしれないと考えています。その意味で、映画『ドクター・デスの遺産』の公開は時機を得たものであり、観客の倫理と良識を突き動かさずにはおかない傑作だと思います」
驚く展開と結末を用意しているという。大どんでん返し帝王による連載小説をお楽しみに。
▽中山七里(なかやま・しちり) 1961年、岐阜県生まれ。2009年「さよならドビュッシー」で「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。本作は「切り裂きジャックの告白」「七色の毒」「ハーメルンの誘拐魔」「ドクター・デスの遺産」「カインの傲慢」に続く、シリーズ第6弾。