おさるさん 細木数子さんに感謝…来年までに「逆立ち書道」を披露したい
おさるさん(芸人/53歳)
筋肉芸人としても活躍し、近年は書家の仕事が忙しいという芸人のおさるさん。死ぬまでにやりたいことは逆立ち書道!? 加えて、子供たちに教えて書道の魅力を広めたい! 2004年にモンキッキーに改名(その後、再びおさるに改名)してブレークのきっかけをくれた、今年亡くなられた細木数子さんへの思いも話してくれた。
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昨年からの自粛期間は自宅で書道の注文の仕事はやれていましたが、書道パフォーマンスのイベントはゼロになってしまいました。体を動かしたい性分なので自宅で筋トレはやっていて。
でも、おじさんが筋トレしてもちょっとキモ悪がられたり、人に見せる部分で発展がないなぁと思っていたところ、妻(山川恵里佳)が唐突に「逆立ちがいいんじゃない?」と言ってきて。逆立ちがきれいにできれば人に見せられるというアイデア。メチャ振りですよね(笑い)。
試しにやってみたら全身の筋肉を使う筋トレになるし、妻に言われた日から壁づたいに毎日練習しました。半年かかって静止できるようになったら面白いんですよ! それに逆立ちは奥が深いと気づきました。20秒静止していられるようになると左右の足を交互に動かして空中散歩とか、開脚して僕のギャグの「ウレシイY(ワイ)!」をやってみたり。子供に大ウケしたので、自粛が解けた時期のイベントでもやってみたらやはりウケました。
そして数カ月前のあるイベントの最中、お客さんから冗談で「逆立ちして書道できないの?」と声が飛んだんですよ。それを聞いて、「面白い! それだ!」と。それから逆立ち書道の練習を開始したんです。
片手逆立ちは強い方の右手がいいけど、書を書くのも右だから左手一本で体を支える練習をしてます。ただ最初は「一」とか画数の少ないものから(笑い)。画数が増えても行書になるでしょうね。
これは死ぬまでというより、来年には披露したい。取材で宣言した手前、完成させるしかない(笑い)。イベントでタンクトップと短パン姿の“逆立ち書道”をお見せすれば、書道に興味のない若者や外国の方にも胸にグッとくるものがあるんじゃないかと。
僕は書道に興味を持ってもらうためにも活動してきました。保育園で4~6歳の子供に教える時は「はい、書道をやってみてください」では絶対にダメ。最初の挨拶からつねに笑顔で、途中でクレヨンしんちゃんのモノマネを入れたり工夫して。
生意気な子も中にはいて大変ですけど、大事なのは、その子を絶対に否定しないこと。それに怒らないこと。マイナスのことは言わず、プラスのことだけを言うこと。この3つは僕の子育ての持論でもあります。
「うまいね!」と褒めると子供は喜んでくれる。「書道面白いなあ」と少しでも思ってくれたらうれしい。
細木数子先生のおかげ
今は大人も習字をやらなくなっていますけど、大切な手紙は直筆で書くし、年賀状でも直筆でもらうとうれしい。お葬式では筆ペンで自分の名前を書く機会もある。
結婚式の受付で、筆ペンが苦手なのか、一緒に来た人に「俺の名前も書いておいて」と言う人がいますけど、自分の名前は自分で書けた方がいいと思います。だから子供の頃から筆に慣れ親しんでいれば大人になっても筆遣いができる。
僕に少しでも書道を教わった子供たちが大人になった時に「面白い先生がいたなあ、笑わせながら教えてくれたから、気づいたら書道が身に付いていた」と思ってくれたらうれしい。それが死ぬまでの夢かな。
■お通夜で娘のかおりさんに感謝を伝えた
細木数子さんには「モンキッキー」に改名していただいたのをきっかけに仕事が増えました。最近も「改名してどうですか」と聞かれるのは芸人として話題が続いてるということで、細木先生のおかげです。
当時も感謝しましたけど、今の方が感謝の気持ちが大きい。お通夜に行き、娘さんのかおりさんにご挨拶し、感謝を伝えました。細木さんは今も大きな存在です。
逆立ち書道をできるようになる
家族は僕を支えてくれて、子供たちは僕の逆立ちタイムを計ってくれるし、公園に行くと一緒に逆立ちします。逆立ち親子(笑い)。
書道を広めるためにはまず逆立ち書道をできるようになる。好きな一文字の「栄」を、来年は逆立ちで書きます。若い頃より筋肉がついてますので体力的には問題なし。来年を見ててください。
(聞き手=松野大介)
▽本名=大森晃 1968年9月、大阪府生まれ。91年からコアラとお笑いコンビ・アニマル梯団で活動。ピン芸人になり、モンキッキーと改名。「SASUKE」など筋肉芸人で人気に。書家では宇都鬼(ウッキー)で東京書作展で優秀賞など受賞。