松村邦洋さん 好評だった2016年大河ドラマ「真田丸」のスピンオフ「ダメ田十勇士」

公開日: 更新日:

 三谷幸喜・作のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が好評だ。2代目執権北条義時を主役に源平時代から鎌倉時代が描かれるが、時代劇フリークでとりわけ鎌倉通の松村邦洋さんが12月に「『鎌倉殿の13人』を語る」を上梓した。秘蔵の一枚は三谷が2016年に担当した大河「真田丸」のスピンオフドラマに出演した時のオフショット。

■79年の大河「草燃える」は何百回も

 時代劇を好きになったきっかけは1979年に放送された大河ドラマ「草燃える」です。もう何百回も見ています。

 大河ドラマはどれも好きだけど、北条政子と義時、源頼朝や義経らを描いた「草燃える」が大好きなので、43年間もその亡霊にとりつかれている感じです。同じ時代を描く三谷さんの「鎌倉殿」を見ることができて、やっと亡霊から解放されるのかなと思っています。

「草燃える」の79年当時、僕は小学6年生でした。図書館で本を借りて読むのが好きで、源平の本は山ほど読みました。「草燃える」は頼朝、政子がメインの物語ですが、その頃は義経が好きでしたね。ただ、途中から時政の息子の義時がいいなと思うようになりました。

 義経は戦のスペシャリストですが、頼朝は政のスペシャリストです。その頼朝が後継者として選んだのが、弟の義経ではなく義理の弟の義時でした。頼朝は政をやる人は我が強い俺が俺がという義経のようなタイプよりも、義時のような柔軟なタイプがいいと考えたのだと思います。頼朝は女好きです。たとえば、頼朝は義時によその女性のことについて「政子には内緒だよ。男どうしの約束だ」と言うわけです。すると、義時は言われた通りに行動する。実際義時は随分、頼朝の尻ぬぐいをしています。そういうところを見込まれたのだと思います。

 実は鎌倉時代はわかりやすく言うと連立政権なのでかなりドロドロしています。相手をすぐに裏切ったり手のひらを返したり。生ぐさいんです。子供の時は「草燃える」を見終わると、疲れてぐったりしたくらい。

 でも、三谷さんはドロドロ感をほぐして、面白くコミカルに描いています。これまで大河ドラマを見なかったいわば“無党派層”にも興味を持ってもらえるように、言葉も現代風にわかりやすくしている。「草燃える」もそういうところがあったんですけどね。

 三谷さんは2004年の「新選組!」、16年の「真田丸」も担当、「鎌倉殿」は大河の3作目になります。僕が時代劇好きだというので、お話をさせていただいたことがあります。最初は13年の三谷さんが監督した映画「清須会議」です。

 テレビ局でお会いして新選組で最後、総長になった山南敬助の話をしたことがありました。それから少したってから「清須会議」の感想を聞きたいという話が関係者を通してありましてね、「面白いですね」と申し上げたら、翌年「清須会議」がDVDになった時、三谷さんとのトークを副音声で入れていただきました。時代劇好きの僕にとってはありがたいお話でしたね。

 この写真は「真田丸」の時のものです。長男の信之を渡瀬恒彦さん、次男の幸村を草刈正雄さんが演じた85年の「真田太平記」を見ていたので、真田一族が三谷さんのスパイスでどう描かれるのか楽しみにしていました。

 ちょうどその時、NHKが「真田丸」のPR企画の一環でスピンオフのショートムービー「ダメ田十勇士」を制作するというので、そのひとりとして出演することになりまして。「真田十勇士」は勇猛果敢にカッコよく戦いますが、「ダメ田十勇士」はダメで親しみやすい8人の武士が登場するドラマです。僕が演じたのは酒好き歌好きの清海入道の役です。僕の他は博多華丸さんや矢本悠馬さん、鈴木拓さんという面々です。

 監督は映画「めんたいぴりり」の江口カンさんです。ロケをやったのは確か崖のある千葉の山の中でしたね。大坂夏の陣が始まる前で、僕は「徳川家康なんぞ蹴散らしてやりましょう」なんてセリフをもらいました。

三谷幸喜の意向で本編の最終回にも出演がかなった

 三谷さんはこれを面白いと思ったらしく、「真田丸」の最終回にダメ田十勇士も出演させたいと制作サイドを通して出演の話があり、初めて大河ドラマに出演がかないました。本編ではセリフは多くなかったけど、結構いいセリフでしたよ。大好きな大河に出られて本当にうれしかった。「ダメ田十勇士」はDVDにも入っているし、貴重な経験でした。

■「鎌倉殿の13人」が見たくて朝からソワソワ

「鎌倉殿」は今後の展開が楽しみです。人物では菅田将暉さんが演じる義経、小池栄子さん演じる政子、宮沢エマさん演じる義時の妹、実衣……。義時の正室、伊賀の方と揉めるところも描いてくれたら……。争いでは後鳥羽上皇が義時討伐で挙兵する承久の乱、2代将軍頼家の子、公暁による3代将軍実朝暗殺とか。どう描かれるんでしょうか。

 日曜日は朝からドキドキ、ワクワクして一日中、早く見たいのでウズウズして。夕方6時からBSプレミアムで放送される早大河も見ます。こんなことは小学校6年生以来です。「鎌倉殿の13人」を見ないと死ねません(笑い)。

(聞き手=峯田淳/日刊ゲンダイ)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  2. 2

    中居正広の騒動拡大で木村拓哉ファンから聞こえるホンネ…「キムタクと他の4人、大きな差が付いたねぇ」などの声相次ぐ

  3. 3

    木村拓哉は《SMAPで一番まとも》中居正広の大炎上と年末年始特番での好印象で評価逆転

  4. 4

    中居謝罪も“アテンド疑惑”フジテレビに苦情殺到…「会見すべき」視聴者の声に同社の回答は?

  5. 5

    中居正広9000万円女性トラブル“上納疑惑”否定できず…視聴者を置き去りにするフジテレビの大罪

  1. 6

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  2. 7

    フジテレビは中居正広で“緊急事態”に…清野菜名“月9”初主演作はNHKのノンフィクション番組が「渡りに船」になりそう

  3. 8

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  4. 9

    若林志穂vs長渕剛の対立で最も目についたのは「意味不明」「わからない」という感想だった

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    相撲協会の逆鱗に触れた白鵬のメディア工作…イジメ黙認と隠蔽、変わらぬ傲慢ぶりの波紋と今後

  2. 2

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    《2025年に日本を出ます》…團十郎&占い師「突然ですが占ってもいいですか?」で"意味深トーク"の後味の悪さ

  5. 5

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  1. 6

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  2. 7

    結局《何をやってもキムタク》が功を奏した? 中居正広の騒動で最後に笑いそうな木村拓哉と工藤静香

  3. 8

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 9

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 10

    高校サッカーV前橋育英からJ入りゼロのなぜ? 英プレミアの三笘薫が優良モデルケース