「日本学術会議」法人化の“真の狙い”とは…どうしても軍事研究をさせたい政府の本音
政府は、科学的な根拠に基づいて政府に助言・勧告を行う日本学術会議を、国の特別機関から法人化する方針を示した。一見、独立性を尊重するようでいながら、会員選考、運営、活動評価に外部有識者による委員会が関与し、その一部のメンバーは担当大臣が任命する。現状より、むしろ独立性が危うくなる。
学術会議の問題は、2020年に菅義偉前首相が学術会議会員候補のうち6人の任命を拒んだことが発端である。政府は、その拒否理由を具体的に説明しないまま、むしろ逆襲に出て、学術会議を法人化して財政的に締め上げる組織見直し作戦に動いたのである。
任命拒否リストは、当時の杉田和博官房副長官の手書きの文書がもとになっているといわれる。
同副長官は、警察庁警備局公安第一課長や内閣官房内閣情報調査室長の職歴もあるので、その種の情報は入手しやすいのだろう。日本学術会議の会員ともなれば「政治的中立性」を要求され、特定秘密保護法案や安保法案などの過去の発言や活動をチェックし、リストを作成したらしい。
政府の政策に批判的な意見を表明したことがある研究者の日本学術会議への任官を、拒否したのが真相だ。この政府の決定には、学問の自由、言論・思想の自由の侵害になるという批判が全国の各学会から沸き上がった。