業務内容は「ただ立っているだけ」…実に単調だが、これがキツイ
強盗でも現れたら刺激的だが、ロレックス専門店でもないかぎり、そんな珍事が起きるはずもない。実に単調な仕事である。
初日に思い知ったのは警備員とは“身分の低い”職業ということ。たとえばトイレ問題。店舗の奥にはきちんとしたトイレがあるが、警備員が使うことは許されない。では大小便はどうするのか。佐橋氏に聞くと──。
「近所にセブン-イレブンとファミマがありますから、そちらを使ってください。あとは駅のトイレ。改札の外にあるので誰でも入れます。雨や雪の日は傘をさしてトイレに行ってください」
要するに店長をはじめ販売の女性スタッフと同じ空間にいるものの、こちらはあくまでも、ただの出入り業者であり、一緒に働く仲間ではないということだ。販売スタッフに軽々しく声をかけるのもご法度。笑い話のようだが現実の話だ。
■呼び方に感じる身分の垣根
業務中、私は女性スタッフを「〇〇さん」と名前で呼ぶが、彼女たちは「警備員さん」としか呼ばない。そこには身分の垣根がある。