業務内容は「ただ立っているだけ」…実に単調だが、これがキツイ

公開日: 更新日:

警備員編

「ついにこうなった……」──。鏡に映った自分の姿を見てつぶやいた。「ドアマン募集」に応募したはずなのに、何のことはない、仕事の実態は警備員だった。ただし、子供のころに見ていたテレビドラマ「ザ・ガードマン」とはいささか趣が違う。警備会社から貸与された紺のスーツに深紅のネクタイ。「警備」の文字の腕章をはめて繁華街の店舗入り口に立つ。スーツ一着がウン十万円の高級ブティックだ。

 初日はベテランの佐橋氏(仮名)から指導を受けた。店舗近くの路上で待ち合わせし、ネクタイを締めて店の正面ドアの前で待っていると、女性スタッフが中に入れてくれた。佐橋氏は慣れた足取りで店内を歩き、奥のドアを指さして「荷物はここに置いてください」という。そこは2畳にも満たない狭い物置だ。床にカバンを置き、ドアのすぐそばに立つ。

 まもなく女性スタッフの「オープンします」の声でドアが開き、ブティックの一日が始まった。日当1万円。わたくし「林山警備員」のデビューだ。

 まずは佐橋氏が立哨を開始。私は少し離れたところで見学する。1時間経過したところで仕事内容を理解できた。ドアマン警備員の業務とは何か。それは、何もしないことである。白い手袋(「白手」と呼ぶ)をはめた両手をへその下で組み、背筋を伸ばして立つ。たまに客が入ってくると「いらっしゃいませ」と軽く会釈する。それ以外は無言。つまりは立っているだけ。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  2. 2

    周囲にバカにされても…アンガールズ山根が無理にテレビに出たがらない理由

  3. 3

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  4. 4

    田中圭が『悪者』で永野芽郁“二股不倫”騒動はおしまいか? 家族を裏切った重い代償

  5. 5

    中森明菜が16年ぶりライブ復活! “昭和最高の歌姫”がSNSに飛び交う「別人説」を一蹴する日

  1. 6

    永野芽郁「二股不倫報道」の波紋…ベッキー&唐田えりかと同じ道をたどってしまうのか?

  2. 7

    レベル、人気の低下著しい国内男子ツアーの情けなさ…注目の前澤杯で女子プロの引き立て役に

  3. 8

    芳根京子《昭和新婚ラブコメ》はトップクラスの高評価!「話題性」「考察」なしの“スローなドラマ”が人気の背景

  4. 9

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  5. 10

    大阪万博会場は緊急避難時にパニック必至! 致命的デザイン欠陥で露呈した危機管理の脆弱さ