自覚症状が出たら手遅れ? “沈黙の臓器”こそ毎日のケアを
肝臓が人間にとって大事な臓器であることは、お酒を飲まないビジネスマンでも知っているだろうが、一方で肝臓は別名“沈黙の臓器”と呼ばれることはご存じだろうか。
肝臓の役割とは、食べものから摂った栄養を貯蔵し、必要な時にエネルギーの元として供給する「代謝」と、アルコールや老廃物などの有害物質を分解する「解毒」だが、長年のお酒の飲み過ぎや不摂生が原因で深くダメージを受けていても、自覚症状がなかなか出ない臓器だからだ。
自覚症状が出ないまま肝臓の機能が低下すると、一体どうなるのか? 糖や脂肪の代謝がスムーズに行えなくなって高血糖や脂質異常を招き、脂肪肝を引き起こし、さらなる肝機能低下を招く……という“負のスパイラル”に陥ってしまう。健康診断や人間ドックで、肝機能マーカーのγ(ガンマ)-GTPに51以上、ALTに31以上など“要注意”の数値が出たにもかかわらず、放っておいたがために手遅れというケースも。最近ダルいし食欲もイマイチ、風邪のような症状が出た時にはすでに……ということだってありうるのだ。
肝臓に関しては、頭に焼き付けてほしいこんなデータもある。日本人間ドック学会がまとめた「2015年人間ドックの現況」によると、316万人いる人間ドック受診者のうち、肝機能異常を指摘されたのは33.2%の約105万人。受診者の約3人に1人にのぼり、2年連続で100万人を超えた。男性に至っては40.2%、つまり5人に2人が肝機能異常ということ。しかも肝機能異常を抱える人は年々増加、その割合は30年前に比べ、なんと約3倍だ。
ただでさえ、働き盛りのビジネスマンは会食が多い。どうしても普段から肝臓を酷使しがちだ。さらには新シーズンを控え、歓送迎会が続きの日々もすぐそこ……過度のアルコール摂取の他にも、仕事のストレスや睡眠不足、コッテリ油っこいものや甘いもの、お肉の食べすぎなど悪い生活習慣も、肝臓にはボディーブローのようにジワジワとダメージになってしまう。
人間ドックでアドバイスされる週1日の休肝日や、ドラッグストアやコンビニに並ぶ“二日酔い回復ドリンク”で肝臓を労わったとしても、それだけでは肝機能改善対策は十分とはいえない。やはり大事なのは、生活習慣の改善による日々のケアなのだ。
肝臓ケアは習慣化できる、しかも簡単!
毎日の肝臓のケアついては、これまでもさまざまな方法がクローズアップされてきたが、実はいま注目を集めているのが、スルフォラファンという成分だ。健康に敏感な芸能人やアスリートが摂り始めて話題を呼んだ、ブロッコリーの新芽ブロッコリースプラウトに多く含まれている。
スルフォラファンには、体内の解毒酵素を活性化し、肝臓の解毒力を助ける働きなどがあることがわかっている。カゴメの研究で、肝機能異常の男性52人を、スルフォラファンを毎日摂る人と摂らない人のグループに分け、2カ月後に検査したところ、摂取したグループではγ(ガンマ)-GTPやALTの平均値が改善したという結果も確認された。
そんなスルフォラファンの1日の摂取目安量は30mg(※)。継続摂取がオススメだが、実はブロッコリースプラウトに換算すると約1.5パック分。最近はスーパーでも手に入りやすいとはいえ、毎日の食生活で摂り続けるのはハードルが高い。スルフォラファンはサラダやスムージー、サプリメントなどを普段の生活にうまく取り入れて摂るのがポイントだ。(※)スルフォラファングルコシノレートとして
今や肝臓ケアは、自宅でもオフィスでも外出先でも手軽にできる時代。だからこそ日々の習慣にしてしまいたい。