広島に“聖域”なし 「タナキクマル」復活までの内なる闘争
「中では結構バチバチやってますよ」
こう言うのは、広島のマスコミ関係者だ。
リーグ3連覇を目前に控える広島。21日の阪神戦では8月17日以来となる1番田中、2番菊池、3番丸の「タナキクマル」トリオが復活した。
この3人はどうあってもカープに欠かせない戦力なのだが、緒方監督は今季、この「トリオ」にあえて、メスを入れた。
「緒方監督は開幕直前、『この形を変えるつもりはない』と言っていた。トリオはすでに“聖域”になりつつあったが、田中と菊池は開幕から打撃が低調だった。コーチの進言もあり、『タナキクマル』を解体したのです」(前出の関係者)
まず、菊池を7月26日にスタメン落ちさせると、8月18日には同じく不振が続いた田中を7番に降格させた。2人は8番を打つことさえあった。常勝チームのバリバリのレギュラーだから、プライドはある。
「田中も菊池も心の中では不満があったでしょうが、腐ることなく反骨心でプレーしている。一方、首脳陣とすれば難しい判断だったと思う。やり方次第では内紛に発展しかねませんが、いくら実績がある選手でも必要以上の特別扱いはしない。特に野手は選手層が分厚い。出番が欲しくてウズウズしている若手、中堅はワンサカいる。チーム内の競争をあおる目的もあるのです」(広島OB)
広島は昔から荒くれ者もいて、ときにチーム内でバチバチやってきた。それが3連覇の原動力になっているのだろう。ナアナアでやって勝てないよりはよほど健全だ。