入団は“コネ”だった…広島・新井貴浩の壮絶プロ人生20年
12球団のドラフト候補には入っていなかった――。
5日に現役引退会見を行った広島の新井貴浩(41)。通算2200安打、319本塁打を誇る男も、アマ時代はプロ入りすら危うかった。
■「契約金はいりません」
1998年ドラフト6位で広島に入団する当初から取材する元スポーツ報知記者の駒沢悟氏はこう語る。
「新井にはプロ志向があったものの、プロの評価は打撃は粗く、肩が弱い、スローイングに難があるという判断。しかし本人は諦めなかった。駒大の先輩である野村謙二郎(前広島監督)の自宅で素振りを見てもらい、推薦してほしいと頼み込んだ。当時の太田監督も、『伸びしろがある。プロに入れてやりたい』との思いがあった。新井の父親は担当の渡辺秀武スカウト(故人)に『契約金はいりません。息子の夢をかなえてください』と頭を下げた。さらに駒大OBでその年に達川監督のもと、ヘッドコーチ就任が決まっていた大下剛史氏にもすがった。こうしたコネもあり、ようやく獲得へのゴーサインが出た。広島が指名挨拶をしたのはドラフト10日ほど前。当初は8位で指名する予定だったとも聞いています」