五輪延期なら選手や経済損失は…6つの疑問を専門家に聞く

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【Q3】一般販売が決まっている選手村はどうなるか

 大会後に4145戸の分譲マンションとなる東京・晴海の選手村はすでに販売が始まっている。昨年、2回にわたって発売した940戸のうち、9割を超える893戸に申し込みがあった。引き渡しは2023年3月から始まる。

 住宅ジャーナリストの櫻井幸雄氏が言う。

「ワンルームをメインにつくられている選手村を3年かけて2LDK~4LDKに改修するのですから、そもそも時間がかかる。東京五輪開催が1年延期されるだけでも大変です。購入者は23年3月の引き渡しを前提に現在の住まいの売却や資金繰り、住宅ローンの準備を進める。それらの見直しを強いられる。3月下旬に3回目の販売が予定され、段階的に残りの住戸の発売も進んでいくはずでしたが、開催延期の期間によっては、すでに募集した940戸以外は販売停止にせざるを得なくなるかもしれない。

 成約した物件についても、契約人に手付金を上乗せして返金し、契約を解除するという事態も考えられます。引き渡しまで3年という異例の猶予期間を設けているのが不幸中の幸いとなるかもしれませんが、いずれにしろ前例のない状況。事態は不透明です」

 対応を誤れば、購入者から集団訴訟や損害賠償請求を起こされる可能性もある。

【Q4】経済損失はいくら?

「1年延期なら数千億円、中止なら数兆円規模の損失になるでしょう」

 こう言うのは、さまざまな分野の経済効果を算出する関大名誉教授の宮本勝浩氏(経済学)だ。東京都は、大会招致が決まった2013年から30年までの18年間で、約32兆円の経済効果を見込んでいた。宮本氏は現在、五輪が1年延期になった場合の「マイナスの経済効果」について算出中だが、ポイントは4つある。

(1)施設の維持費

 新国立競技場の年間維持費は24億円といわれ、延期になっても、掃除や警備によって施設を維持する必要がある。新国立以外にも、選手村や有明アリーナをはじめ、大中小規模の競技会場を維持する費用が必要です。

(2)代表選手再選考費用

 予選からやり直すことになれば、大会運営はスポンサー企業の出資なくして成り立ちませんが、各競技団体は今年の開催を前提に資金集めをやってきました。延期になったからといって、スポンサー企業が再支援をしてくれるのか。難しいやりくりを迫られるでしょう。

(3)レガシー効果の縮小

 五輪を契機に生み出される持続的な経済効果をレガシー効果という。五輪時に初めて日本を訪れた外国人観光客が再び日本へ観光しに来るケースなどがこれに該当する。延期で来日を回避する人が出てくると、この循環がなくなる。携帯電話の「5G」に関しても、五輪をお披露目の機会にする予定も、延期となれば広告宣伝効果は薄れます。

(4)放映権料の減額

 延期となれば、放映権料の原資となるスポンサーからの広告収入の見直しが生じかねない。米NBCがIOCと結ぶ契約は、14年ソチから20年東京まで計4大会分で約4600億円。1年延期となれば、来夏は世界陸上が実施される。スポンサー企業とて、年間の広告宣伝費は決まっている。1年に何度もの国際大会の広告費を捻出できるかは不透明です。

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