仙台育英Vで高校野球「地方の逆襲」が始まった! 4強すべて優勝経験ゼロは偶然にあらず
ついに優勝旗が白河の関を越えた。
■仙台育英が下関国際を下して悲願の東北勢初V
高校野球の夏の甲子園大会は22日、決勝戦が行われ、仙台育英(宮城)が下関国際(山口)に8-1で完勝。春夏を通じ、東北勢として13度目の決勝挑戦で初優勝となった。
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仙台育英は0-0の四回1死三塁、4番の斎藤陽(2年)が一、二塁間を破る右前適時打で先制。3点リードの七回1死満塁から、宮城大会ではメンバー外だった岩崎生弥(3年)が、今大会チーム初本塁打となる満塁本塁打を放ち、試合を決めた。
圧巻は最速145キロ以上の速球を誇る「5本の矢」だ。今大会は5投手が甲子園で登板。全試合を継投で勝ち上がった。決勝は最多の計14回3分の2、213球を投げた斎藤蓉(3年)が先発し、高橋煌稀(2年)へのリレーだった。
春のセンバツを圧倒的な力で制した大阪桐蔭がぶっちぎりの優勝候補だったが、準々決勝で下関国際に4-5でまさかの逆転負け。全国から、それもトップクラスの選手をかき集める大阪桐蔭の1強時代が向こう10年間は続くとされる一方で、聖光学院(福島)、近江(滋賀)を含めた4強は全て優勝経験のない高校が残った。
■「東北は指導者間の交流が盛ん」
高校野球に詳しいスポーツライターの美山和也氏がこう言う。
「東北勢は地道に強化を進めていました。例えば1998年から13年連続で初戦敗退を喫し、『最弱』と揶揄されていた秋田県は、2011年から『秋田型高校野球育成・強化プロジェクト』を立ち上げて強化したことで、18年の100回大会で決勝まで進んだ金足農旋風が巻き起こった。中学3年生が部活を終えた8月から10月の間に高校野球への準備期間として硬球での指導会を県内各地で行ったり、中京大中京高の監督として全国制覇経験がある大藤敏行さんをアドバイザーとして招聘。プロジェクトには毎年約400万円の予算が組まれた(19年に終了)。強化の一環として、当時・金足農のエースだった吉田輝星(現・日本ハム)は、2年生の頃から八戸学院大・正村公弘監督の指導を受けていた。東北は指導者間の交流が盛んで監督同士が仲がいいのが特徴です」
コロナ前はよく聖光学院の斎藤智也監督、花巻東(岩手)の佐々木洋監督らが食事会を開催していた。