大阪桐蔭は高校野球では無敵なのに…森友哉世代以降のOBがプロでパッとしない謎解き
点差以上の強さを見せつけた。
16日に行われた二松学舎大付(東東京)戦に4-0で完封勝ち、ベスト8進出を決めた大阪桐蔭(大阪)のことだ。
ぶっちぎりの優勝候補と目される同校のベンチ入りメンバーは例年通り、小・中学野球の日本代表経験者ら、全国の野球エリートが揃う。今年の3年生では、捕手の松尾汐恩、中堅の海老根優大、そしてこの日、完封勝利を挙げた右腕の川原嗣貴らがドラフト候補に挙がっている。
毎年のようにプロに選手を輩出しており、同校出身の現役プロ野球選手は現在23人もいる。
先日、通算450本塁打を達成した中村剛也(西武=2001年ドラフト2位)を筆頭に、中田翔(巨人=07年1位)、藤浪晋太郎(阪神=12年1位)、森友哉(西武=13年1位)、根尾昂(中日=18年1位)といった面々だ。
しかし、セ球団のあるスカウトは「今年の大阪桐蔭にドラフト1位候補はいません」と、こう話す。
■集めるのは伸びしろより完成度の高い選手
「大阪桐蔭は1学年20人程度の少数精鋭で、華々しい実績のある中学生を取っている。しかし、高校3年間の成長度を見ていると、欠点が少なく、まとまっている選手が多い。スケールの大きさや伸びしろより、甲子園で優勝するために完成度の高い選手を集めているように映る。その分、早熟の傾向があり、特に森友哉の世代以降、即戦力志向が加速しているように感じます。以前は中村や中田のようにスケールが大きい選手を取っていたはずですが、今年のドラフト候補で将来性が感じられるのは、海老根くらいかもしれません」
そんなスカウティングの方針もあってか、近年の大阪桐蔭OBはプロで苦戦している。前出のスカウトが指摘するように、それは西武・森より後の世代で顕著といっていい。
14年ドラフト以降の入団で、計15人が現役。18年に投手兼野手として春夏連覇を達成した根尾は投手に活路を見いだしつつあるものの、同期の藤原恭大(ロッテ=18年1位)など今季、一軍に定着している選手は一人もいない(1人は戦力外通告後に育成契約)。