著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

「入るのは簡単、出るのは難しい」佐々木麟太郎が選んだ米大学進学のプラスとマイナス

公開日: 更新日:

 佐々木麟太郎(花巻東高)が米国の大学への進学を決めた。

 しばしば米国の大学は「入るのは簡単だが、出るのは難しい」と言われる。実際にはさまざまな例外はあるとしても、確かに米国の大学の授業は日本の大学の基準に照らすと過酷だ。毎週のように各科目でさまざまな課題が課され、学生が連日夜遅くまで大学の図書館で学ぶ光景は日常的である。

 また、教員の講義を聴くのが一般的な日本の大学に比べ、米国の大学においては教員の講義に劣らず学生同士の議論が重視され、成績判定の上でも大きな位置を占める。これは、正規学生であれば誰にでも適用されるものであり、各競技に携わる学生選手も例外ではない。

 むしろ、全米大学体育協会(NCAA)は学生の本分は学業であるという立場から、学生選手が学業とスポーツを両立することを可能にするための環境づくりを各大学に求め、学生の成績評価がNCAAの基準を下回った場合は練習や試合に出場できない、各部の練習の合計時間に制限を設ける、といった規則が設けられている。

 こうした制度は2019年に「日本版NCAA」として大学スポーツ協会(UNIVAS)が発足した際に日本でも詳細に紹介されている。ただし、UNIVAS加盟校の中でも依然として従来の練習ばかりで学業をおろそかにする大学がある中で、NCAAは所定の規則が破られた場合は罰則を適用するなど、掛け声だけではなく実効性を伴った施策を行っている。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    カーリング女子フォルティウス快進撃の裏にロコ・ソラーレからの恩恵 ミラノ五輪世界最終予選5連勝

  2. 2

    南原清隆「ヒルナンデス」終了報道で心配される“失業危機”…内村光良との不仲説の真相は?

  3. 3

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  4. 4

    「対外試合禁止期間」に見直しの声があっても、私は気に入っているんです

  5. 5

    高市政権「調整役」不在でお手上げ状態…国会会期末迫るも法案審議グダグダの異例展開

  1. 6

    円満か?反旗か? 巨人オコエ電撃退団の舞台裏

  2. 7

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  3. 8

    箱根駅伝3連覇へ私が「手応え十分」と言える理由…青学大駅伝部の走りに期待して下さい!

  4. 9

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  5. 10

    近藤真彦「合宿所」の思い出&武勇伝披露がブーメラン! 性加害の巣窟だったのに…「いつか話す」もスルー