米留学決断の佐々木麟太郎を待ち受ける“過酷ノルマ”…年間100試合、クビ制度、そして学業大前提
プロ志望届は出さずに進学、それもアメリカの大学を目指すという。
今秋のドラフトの目玉とされていた高校通算140本塁打の佐々木麟太郎(18=花巻東)のことだ。鹿児島国体の履正社(大阪)戦後、「最後の最後まで悩み、自分の意思で決めました」と、こう言った。
「日本の大学の方々からも熱心に声を掛けていただきましたが、いろいろな選択肢を1つずつ見て、アメリカの大学を目指そうと。野球選手としてまだまだ未熟だと思っています。さらに上を目指せるように、イチからしっかり練習をしたい。これから体験したことのないところで勉強をして、いろいろな経験をして、次につなげられるようにしたいです」
米大学への進学の可能性が公になったのは先月中旬。花巻東の先輩である菊池雄星(ブルージェイズ)の代理人を務めるスコット・ボラス氏の事務所のアテンドにより、2012年最多勝投手のデビッド・プライスらを輩出したバンダービルト大などを現地視察していたことが明らかになっていた。ついに本人の口から初めて語られた米留学だが、いったいどのような環境なのか。
■大山盛一郎さんは来夏MLBのドラフトを目指す
「日本にいた頃には想像もつかなかったところです」とは、21年にマーセッドカレッジ(短大)から4年制のカリフォルニア大学アーバイン校に編入、現在4年生で来年のMLB入りを目指している内野手の大山盛一郎さん(23=興南・写真は本人のSNSから)。オリックスで活躍する宮城大弥の高校時代の1学年先輩でもある。
「アメリカの大学で野球をするには、学業をおろそかにしてはいけません。『学生』という立場が大前提なので、一定以上の成績を修めなくては部活動に参加できないからです。勉強との両立は簡単なことではありません。学校にもよりますが、宿題の量がすさまじくて……。僕は英語力ゼロで留学したので、とにかく周りの人に頼りました。分からないことがあれば積極的に質問をして、自分からヘルプを求める。英語に慣れるために、現地の人とできるだけ長い時間を過ごすことを心がけて、完璧に通じなくてもコミュニケーションを取る、そんな姿勢も重要だと思います。
授業外でいうと、僕はホームパーティーに呼んでもらえたら、お酒を飲まないけどなるべく参加するようにしていました。映画などに出てくるアレです。パーティーは基本的に無料で、各自が自分の分の飲み物などを持っていく形です。ちなみに、授業料は短大が年間200万~300万円、大学は年間600万~650万円です。今年の学費は全額免除の奨学金を頂きましたが、両親には頭が上がりません」