花巻東・佐々木麟太郎が米国留学決断…プロ球団も国内大学も安堵した「納得の理由」
悩んだ末の結論がアメリカ行きだった。
10日の鹿児島国体で履正社(大阪)に敗れ、高校最後の公式戦を終えた高校通算140本塁打の花巻東・佐々木麟太郎(3年)が自身の進路について、プロ志望届は出さず、米国の大学へ留学することを明言した。
「野球選手としてまだまだ未熟で全然大したことがない。人間としても未熟だと思っていますので、広い世界で学び、トータルとして人生を考え、決断しました」
ベスト8に終わった夏の甲子園では、16打数6安打、打率.375をマークした一方で、本塁打はゼロ。以前からプロ志向が強かったものの、本人が「ふがいない形で終わった」と振り返ったように、大舞台で思うような結果を出せなかったことが決断を後押しした。
進学先については明言を避けたが、日刊ゲンダイは先日、麟太郎が元レイズのデビッド・プライスらメジャーのドラフト1巡目指名選手を輩出したバンダービルト大などを訪問、麟太郎の父・佐々木洋監督(48)と旧知の間柄で、教え子の菊池雄星(ブルージェイズ)の代理人を務めるスコット・ボラス氏の事務所が麟太郎をアテンドしたと、いち早く報じている。
■大谷翔平のプッシュ
米留学は父親の意向でもある。
「(麟太郎は)技術的にも人間的にも未熟なところがある。野球だけではなく、人生の可能性を学びながら広げていくということです」とは、佐々木洋監督だ。
さらに麟太郎は、母校の先輩である大谷翔平(エンゼルス)や菊池雄星から米国での生活についてレクチャーを受けたことも明かした。放送関係者が言う。
「一挙手一投足が注目されることに少なからずプレッシャーを感じていた。メディアが『体重が重すぎるので痩せる必要がある』『守備が稚拙』『足が遅い』などと報じるたびに、『140発も打っているのに、微妙な評価しか得られない』とイラ立つこともあったそうです。周りのことを気にせず、ノビノビと野球ができる環境としては、米国がベストではないか」
■巨人などDHのないセ球団は低評価
そんな麟太郎の決断に、プロ球団からは驚きの声が上がっている。今月26日に迫ったドラフトに向け、数球団が麟太郎を1位候補に挙げており、プロ入りの可能性が高いとみられていたからだ。麟太郎が留学を決断したことで、ドラフト戦略を練り直す必要が出てくる球団があるものの、麟太郎を巡っては、セ・リーグ球団を中心に決して評価は高くなかったのも事実だ。
パ球団のスカウトは「1位指名するつもりだった球団はショックでしょうが、留学が決まってホッとしています。面談だの何だのと面倒なことがなくなりましたから」と、こう話す。
「中でも巨人は、すでに麟太郎を1位候補から外しており、即戦力投手を指名するとみられています。スイングスピードの速さは魅力だが、守れるのは一塁だけ。三塁や外野をやらせるとしてもモノになるまでには相当の時間がかかる。指名打者がないセでは環境的に厳しい」