認知症
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(21)入院から3カ月…ようやく“会えた”母は表情を失っていた
母が認知症専門医院に入院してから、携帯電話はナースステーションで預かる形になっていた。電話をしても、看護師が気がついてくれなければつながらず、母と直接話すことはほとんどできなかった。 母の入院生活は、身近な人とほとんど接触す...
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よくある介護の悩み(7)徘徊を繰り返す場合はどう対処すればいい?
認知症の患者さんを自宅で介護されている方からよく聞かれる悩みに「徘徊」があります。認知症の周辺症状のひとつで、見当識障害や記憶障害などが原因で起こります。時刻、日付、場所、人物がわからなくなって、昼夜を問わずうろうろ歩き回り、そのま...
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若年性認知症の発症年齢は50歳前後が多い…「定年まで働く」が治療目標
今回から若年性認知症について、何回か連続してお話ししたいと思います。 若年性認知症は、認知症の中でも40歳代半ばから65歳未満で発症する場合を指します。発症年齢として一番多いのは50歳前後くらいでしょうか。働き盛りの年代で発...
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(20)そろそろ自分たちで…頼みの叔母から切り出された
母の認知症専門医院への入院後2カ月ほど経つ頃、父が庭で脚立から落下し、頭から血を流すという事件が起こった。軽傷だったというが、それを聞いてほっとできるわけもなかった。叔母たちは「お父さんも少しボケてきているんじゃないだろうか」と言う...
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医療介護とは実践哲学…認知症や脳卒中を予防して楽しく生きるためには?
「哲学」とは、生活のなかで疑問に感じたことや身の回りにある問題について、自分なりに問いかけ、考えを突き詰めていく学問のことです。ですから、私は医療介護とは、医学という科学を基盤に哲学を実践することだといつも感じています。 医療...
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仕事もなければ趣味もない…脳活性化のために何をすればいい?
仕事や趣味がある方は、認知症対策として、何歳になっても継続することを強くお勧めします。 今年80歳になる男性は、一年中ほぼ休みがない生活を送っています。早朝から昼過ぎまではビルの清掃のアルバイト。これに加え、週数回は夜、知人...
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(19)このままでは共倒れ…解決の糸口がまったく見えない
母が認知症であること、そして入院したことを受け入れられない父と、電話で話すたびに口論になった。やがて、私は父との連絡を避けるようになっていった。 ある、冷たい雨の降る冬の初め。仕事中に叔母から電話がかかってきた。実家の庭には...
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よくある介護の悩み(6)近ごろ食事をとらなくなってきました…どうすればいいでしょうか?
自宅で介護されているご家族から、食事をとらなくなってしまって心配だという声もよく寄せられます。食べることに関しては、治療やリハビリによって回復するケースと、回復しないケースがあるので、まずは原因を正確に評価しなければなりません。 ...
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料理ができない父親が1人暮らしに…食事問題をどうする?
東日本に住む50代男性は先日、お母さまを急に亡くされました。明るく、活動的で、新しいことへのチャレンジに意欲的だったお母さまだったそうで、まさか別れの日が来るとは、家族みんな想像していませんでした。いまだに信じられず、電話をすると「...
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(3)娘の1日4回の投薬指示に父は「もういいよ!」と逆ギレ
昨年の秋、自宅近所の眼科専門クリニックで「白内障」の手術を受けた富岡孝一さん(仮名/東京・練馬区在=77歳)は、翌日、病院を再訪した。 手術をした左目の眼帯が外され、看護師から術後に挿入する点眼薬の使い方が説明された。 ...
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(2)手術は大成功…しかしそれから父と娘のバトルが始まった
年金生活者の富岡孝一さん(仮名/東京・練馬区在住=77歳)は、昨年の秋、自宅近くの眼科クリニックで「白内障」の日帰り手術を受けた。長く独居生活を続ける孝一さんには、ひとつ大きな問題があった。2年前から発症している認知症だ。 ...
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(18)ただ話を聞いてくれる人がいるということが大きな支えになった
母の突然の認知症の診断、コロナ禍で接触できず叔母たちに頼るしかない状況、「なぜ入院させたのだ」と怒り狂う父。父自身もその頃はかなり体調が悪かった。それなのに、病院に行くこともヘルパーを頼ることもかたくなに拒否し続けた。 実家...
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(1)「娘さんが責任を持つなら手術しましょう。ただ…」
「認知症1(社会的な自立がまだ可能な初期段階の1ランク。5段階で評価)で、お父さまはひとり住まいですか? 懸念されるのは術後の点眼薬処方です。あなたが責任を持てますか?」 昨年の秋、東京都内に住む富岡裕子さん(仮名)は、父、孝...
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いざという時に役立つ電話番号リストを作り、目立つ場所に掲げる
親の高齢化が進むにつれ心配になるのが突発的な健康問題だ。自宅で急に調子が悪くなったら、しっかり対応できるのか。持病や処方されている薬のことを他人に説明できるのか。離れて暮らしているほど心配のタネはつきない。いざという時に、本人たちだ...
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認知症が「高度」になったときの対応は?日々の生活の質を優先することが大事
アルツハイマー型認知症の発症を遅らせられる薬が一昨年承認されましたが、残念ながら、この病気を根絶するまでは医学が発展していません。 進行は止められず、軽度から5年ほどで中等度へ、中等度から5~8年ほどで高度へと移行していきま...
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(17)処方薬の中には症状悪化につながるものが複数含まれていた
認知症専門医院の初診で、母は生活能力を完全になくしていたこともあり、その場で入院となった。コロナ禍で面会は制限され、東京在住の私ばかりか、叔母たちも会うことはできなくなった。父には母の入院を私の電話で伝えたが、そんなことは認められな...
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よくある介護の悩み(4)ひとりでトイレに行けなくなってしまった…改善できるのか
トイレ=排泄に関する相談も多く寄せられます。自分で排泄の管理ができなくなると、汚染が進んで清潔を保てなくなり感染症などのリスクがアップします。何より「人間の尊厳」に関わってきますので、介護する家族にとって精神的に大きな負担になってい...
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認知症を発症しても充実した人生を!中等症で知っておくべきこと
認知症は内容や進行度で、軽度、中等度、高度の3段階があります。もしかかった医療機関が外来で薬だけ渡し、「あとはケアマネジャーさんとやりとりして決めてください」というようなところであれば、非常に残念なことです。認知症を発症しても、人生...
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認知症と診断されたら、これからどうすればいいのか?
認知症と診断されたのですが、これからどうすればいいのでしょうか--。患者さんやご家族からよく聞かれます。中には絶望感でいっぱいになっている方もいて、お話を伺うと、診断までは熱心にいろいろな質問を投げかけられ検査もされたが、その後は病...
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よくある介護の悩み(1)夜眠れずに昼夜逆転…どうすればいい?
今回から、認知症の方を介護されているご家族からよく相談されるケースについてお答えしていきます。まず、多く寄せられるのは「昼間は横になっていて、夜は眠らずに動き出すので困っている」という悩みです。通常、昼間は起きて夜に寝る、という生活...
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「軽度認知障害」と「軽度認知症」…インフルに例えるなら微熱の段階か発症後か
「軽度認知障害」と「軽度認知症」。一見すると同じことを指しているようですが、意味は異なります。患者さんやそのご家族からも「どっちも同じじゃないですか?」としょっちゅう聞かれる軽度認知障害と軽度認知症について、お話ししたいと思います。 ...
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認知症予防におすすめのサプリメント…安全性、有効性、再現性がポイント
「認知機能維持にサプリメントが必要ですか? 飲むとしたら何がいいですか?」 こんな質問を外来や健脳カフェ、また取材でもよく受けます。 そもそも薬とはどういうものか。西洋医学、東洋医学に関係なく、人間は実際に口にし、体に...
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認知症の人への対応…ポイントは「否定しない」「怒らない」「感謝する」
認知症の人に「今日は何を食べたい?」と尋ねたとする。あらぬ方向を見つめたまま黙っていたら、「もう何を言ってもダメだね」と思うだろう。 でも認知症の人にすればこうだ。何を食べたいかと聞かれてサンマを想像したが、サンマという言葉...
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認知症の母は、「必要」とされると暴言や暴力がなくなった
認知症の人の心を忖度すれば、おそらく大半は孤独を感じているのではないだろうか。孤独とは一人でいることではなく、一人ぼっちだと感じる状態のことだ。 むろん人や社会とのつながりを絶たれた状態もそうだが、誰からも必要とされていない...
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【豆乳ヨーグルト】糖尿病予防や認知機能低下抑制の報告あり
豆乳ヨーグルトは、豆乳を乳酸菌で発酵させて作られる植物性ヨーグルトで、健康志向や環境意識の高まりとともに注目されています。 その歴史は比較的新しく、1997年トーラク株式会社が「ソヤファーム 豆乳で作ったヨーグルト」を、20...
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ある認知症の女性は「主役体験」によって徘徊しなくなった
人生の一コマを物語に例えれば、ワンシーンであっても物語の主役になりたいと思うのは、認知症の人も同じである。主役になって称賛されたら気分がいいし、生きていることを実感できる。 でも認知症の人は常に無視されているから、そんな機会...
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重度認知症の彼らがよく使う「怒られる」という言葉の意味
私が初めて重度認知症の人から話を聞いたのは敬子さんだった。あらぬ方向を見つめてはぼんやりしていて、ほとんど口を開かなかったが、たまたま彼女が大好きな自転車を話題にしたことがきっかけで話をすることになった。ただ数分もすると忘れるから、...
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高齢でも「居場所」と「役割」を見つけるためにはどうすればいいのか
人生100年時代を迎え、定年後の高齢者が幸せに暮らすためには「生きがい」「居場所」「役割」が重要だと前回お話ししました。今回は引き続き「居場所」について取り上げます。 高齢社会白書によると、高齢者の「居場所」に関しては、約7...
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重度認知症の人から話を聞くと「家族の無視がつらい」と訴えた
認知症はなりたくない病気の代表だが、家族になってほしくない病気のトップでもある。 ここではアルツハイマー型認知症に限定するが、認知症と診断されたら、家族は心配して励ましてくれるだろう。だが、症状が進行するとたいてい話しかける...
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物忘れは認知症の初期症状? “医学的な物忘れ”ではない場合も
昨年末からの感染症の流行がまだ続いていますね。インフルエンザ、コロナともに検査では陰性だったが、咳がしつこく続いているという話も頻繁に聞きます。 暖かくして、十分な栄養と睡眠を取って、感染症対策に努めてください。 さ...