認知症
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(32)代わってくれる人はいない…私がやるしかない
母の入居先となる有料老人ホームの候補を、紹介業者に選んでもらっている間、地域包括支援センターから特別養護老人ホーム(特養=介護老人福祉施設)についての説明を受けた。特養は比較的費用が抑えられ、長期的な入所を前提とした公的施設だ。ただ...
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認知症の患者さんからのセクハラにどのように対応するか
「中国人の技能実習生の女性にセクハラ行為があり、彼女がとても怖がっているんです」 ある日、日頃から関わりのあるデイサービス事業所から、そこに通う89歳の男性患者さんについて相談の電話がありました。 この男性は軽度の認知...
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(31)母の退院後の施設探し…費用は一体いくらかかるのか
認知症の母の退院後の施設を決めるため、私は地域包括支援センターから紹介された民間業者と電話でやりとりを始めた。施設選びには、希望する地域、予算、必要な条件を伝える必要があった。私は、できるだけ実家の近く、母の生まれ育った場所のそばで...
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認知機能の低下に真っ先に気付くのは自分自身
日本を代表する歌手、橋幸夫さんがアルツハイマー型認知症の中等度であることが、所属事務所の社長によって5月に発表されました。報道によると、2022年12月に軽度のアルツハイマー型認知症と診断され、昨年末に中等度へ進行したとのこと。 ...
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(30)どの施設ならいいのか…判断材料はほとんどなかった
父が亡くなり、残された猫たちを東京に引き取った私は、実家の整理と事務的な手続きに追われながら、限界に近い疲労を感じていた。こういう時に限ってなぜか仕事も忙しく、次から次に依頼や打ち合わせが相次いでいた。先行きのわからない不安から、私...
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親の施設入所を決める前にチェックしたい「面会制限」事情
世界中をパニックに陥れた新型コロナウイルス感染症は人々の生活を一変させた。日本でもソーシャルディスタンスやリモートといった言葉が飛び交い、マスク不足や医療崩壊、飲食店の休業が長く続き、不安な日々を過ごしていたことは記憶に新しい。 ...
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認知症ではなく、注意力や集中力低下による「物忘れ」がある
物忘れは認知症の代表的な症状になりますが、「物忘れ=認知症」ではありません。みなさん、それは理解していても、親(家族)の物忘れについては「認知症なのではないか。病院で検査を受けた方がいいのではないか」と過剰なまでに心配するパターンが...
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ヘルペスウイルスが認知症の原因になる? 治療で17%リスク低下
認知症の原因は正確には不明ですが、ウイルス感染が認知症の起こるきっかけになっているというのは、10年以上前から提唱されている仮説です。認知症の代表であるアルツハイマー型認知症では、アミロイドβという種類の異常タンパクが脳にたまります...
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(29)時はコロナ禍…東京ー熊本の行き来は絶対に誰にも言えない
父が残した猫4匹を東京に引き取ると決意した私は、叔母に一時的な世話を頼みながら、短期間で何度か東京と熊本を往復していた。父の死に関する事務処理を進めなければならなかったからだ。役所への死亡届、携帯電話の解約、廃車や保険の解約、そして...
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80歳を超えたら「物忘れが多い」は普通…イコール認知症ではない
関東在住の女性は、関西で暮らす80代の父親の様子が心配でならないと言います。 「母が亡くなって1人暮らしになったので、時々電話して様子を聞いているのですが、物忘れがひどいんです」 ケアマネジャーさんの名前を何度伝えても...
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「日常生活自立支援事業」を活用しよう…親の不安や疑問に対応
人は60歳を過ぎると認知機能が少しずつ衰えていく。人やモノの名前が思い出せず「あれ」や「それ」を連発するくらいならともかく、判断力の低下で日常生活に支障をきたし始めると思いがけないトラブルになりかねない。 もし親がそのような...
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「塗り絵」描いてうつ・認知症を予防! 脳神経系外科医も、もの忘れ外来で効果を実感
年を重ねてもの忘れの症状が見られると、認知症ではないかと不安になるだろう。高齢社会で認知症が社会問題になる中、認知症との関係について高齢者うつが注目されていて、千葉大の研究グループは興味深い研究結果を発表。その一方、塗り絵が高齢者う...
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橋幸夫さんが発症した「一過性脳虚血発作」…認知症との関係は?
歌手の橋幸夫さん(82)が5月31日、脳梗塞の前兆とされる一過性脳虚血発作(TIA=ティー・アイ・エー)を発症し、自宅から緊急入院した。橋さんは昨年12月、中程度のアルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)と診断されていた。 ...
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(28)実家に残された高齢猫4匹は東京へ連れて帰ることに決めた
だんだん私自身が精神的な疲れを感じるようになっていた中、もうひとつ急いで解決しなければならないことがあった。父がいなくなった無人の実家で、4匹の猫たちが生き延びていたのだ。 父の推定死亡日から発見されるまで約1週間。えさは食...
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親のおむつを選ぶうえで知っておくべきこと…親の気持ちを理解する
高齢の親から「パンツを買ってきてくれ」と頼まれたら、あなたは何を確認するだろう。サイズと好みの形、あとは色柄あたり? とりあえずはければいいよね的な感覚で選ぶことだろう。 では、おむつだったらどうするか。実はこれがとてつもな...
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(27)介護、家の管理、相次ぐ出資…すべてが私一人の肩に
年が明けてすぐ、実家で父がひっそりと亡くなっているのが見つかった。まさかの出来事だった。私は仕事の手を止めて東京から急ぎ実家に向かい、喪主を務めなければならなくなった。自分の生活がすべて止まった。 母の主治医から、当面父の死...
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「レビー小体型認知症」は初期から多彩な症状が現れる
脳の中にレビー小体という異常なタンパク質の塊が蓄積することで引き起こされるレビー小体型認知症。前回、レビー小体型では、アルツハイマー型の病変も併せ持っている認知症患者さんが多いと紹介しました。 レビー小体型は「通常型(もしく...
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(26)意地を張らず、父ともっときちんと話をしていれば
要介護度の通知が届いたら年末年始に帰省し、母が実家に戻って今後必要なケアが受けられるよう準備を進めたいと考えていたが、病院の手続きが遅れ、年内に通知は届かなかった。そして新年。何度電話をしても父が出ないことに不安を覚え、叔母に実家を...
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アルツハイマー型とレビー小体型どちらも発症するケースも
認知症のうち約7割と、最も大きな割合を占めるのがアルツハイマー型認知症です。次いで2番目に多いのが血管性認知症、3番目がレビー小体型認知症。疫学調査によっては、レビー小体型が血管性認知症を抜き去るほどの勢いです。これら3つは「3大認...
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(25)父はひとりで死んでいた…つながらない電話に胸騒ぎ
その年は寒い冬だった。コロナ禍ではあったが、私は母の要介護度の通知が届いたら、年末年始に帰省して母が実家に戻ってくる算段をつけようと考えていた。その準備を始めれば、何カ月経っても母が退院してこないことに苛立ち、怒ってばかりいる父も納...
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言葉によるコミュニケーションの訓練を担う「言語聴覚士」が重要なのはなぜか
リハビリ治療は、“監督”である医師を中心にチームで進めていくものです。 直接患者さんとリハビリ訓練を行うスタッフのうち、今回は「言語聴覚士(ST)」についてお話しします。 言語聴覚士は、病気やケガの後遺症によって、「...
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認知症を予防する…その布団干しこそが、立派な「運動」
認知症予防に運動を、とはよく言われることです。実際、少し汗をかく程度の有酸素運動は筋肉や関節の衰えを予防し、脳への刺激になりますが、「それはわかっているけど……」という方も多いでしょう。そんなみなさんへ、先日、患者さんから伺ったエピ...
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事故が心配…高齢な親の運転技術を安価に見極める方法
高齢ドライバーによる事故が大きく取り上げられるたび、親がいつまで車の運転を続けるのか不安を感じている人は多いはず。静かな田舎でのんびり運転しているとしても、うっかりミスで歩道や反対車線に入ったり、ブレーキとアクセルの踏み間違いで暴走...
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(24)言い合いになるのが嫌で父への連絡は必要最小限となっていた
いずれ訪れる母の退院に備えて、地域包括支援センターとのやりとりが続いていた。最良の選択肢として看護小規模多機能型居宅介護(看多機)という制度を教えてもらい、実家の近くにその施設があることも知った。 介護度によって利用できるサ...
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「復職支援」が作業療法士の重要な役割なのはなぜか
患者さんと精神的にも強く関わりながらリハビリを進める作業療法士(OT)は多くの役割を担っています。中でも手の機能回復を担当する“手のスペシャリスト”であると前回お話ししました。 手がきちんと動けばいろいろな作業ができるように...
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旅は「プラン」から「振り返り」までがワンセット…脳への刺激になる
GWにどこかへ行かれた方は、撮った写真、乗った列車や飛行機のチケット、行った場所の入場券の半券やパンフレットなど、取っておくことをお勧めします。旅行などのお出かけは、出かける前の計画を立てる段階から、戻ってきて旅路を振り返るまでがワ...
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帯状疱疹ワクチンで認知症リスク2割減 ネイチャー誌に発表された意外な研究結果に大きな反響
帯状疱疹のワクチンを接種した人は、認知症になる確率が2割下がることがわかりました。一見関係なさそうな2つの病気の意外な関わりに、大きな驚きと共に希望が広がっています。 まず帯状疱疹は、水ぼうそうの原因である水痘・帯状疱疹ウイ...
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指の動きが語る脳の衰え…手指機能と認知機能の関連性の研究報告
アルツハイマー病は、軽度の記憶障害から始まり、時間をかけて認知機能が低下します。近年の研究では、認知機能の低下が現れる前に、運動機能の低下を認めることが報告されています。特に、手指の細かい動きや精密さの低下は、アルツハイマー病の発症...
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気負わず入れる交流の輪…公園のラジオ体操への参加のススメ
本欄の担当者は時々、朝6時に都内の某公園に行き、ランニングをしているそうなんですが、最初に驚いたのは、人の多さ。特に、推定60代半ば以降、70歳代、80歳代の方が多いとのこと。 6時半くらいまでは数人で、あるいはお一人で、思...
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(23)何もできなくなった母…どうすれば自宅に戻せるのか
母の介護認定をめぐって、私は地域包括支援センターと何度も連絡を取り合っていた。入院中の母は、薬の調整が進んで精神状態が安定しつつあり、病院側からはそろそろ退院を考えてほしいと伝えられていた。しかし、認定の結果が出るまでは、次の一手を...