五木寛之 流されゆく日々
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連載11352回 様々な戦争について <2>
(昨日のつづき) アメリカをはじめ、欧米各国の国防予算がにわかに増大しつつある。当然だろう。ウクライナの現状を見て、どの先進国の国民も、それに反対することはあるまい。 1930年代のスペイン戦…
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連載11351回 様々な戦争について <1>
先ごろから新聞、テレビが、ウクライナの首都、キエフを<キーウ>と呼ぶようになってきた。 ロシア語読みを、ウクライナ語にあらためたのである。 チェルノブイリが<チョルノービリ>、オデッサが<オ…
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連載11350回 リモート講演の盲点 <5>
(昨日のつづき) 先日、ふと思い立って、ブッダの生涯をあらためてたどってみた。ブッダ、いわゆる釈迦、ガウタマ・ブッダと呼ばれた人である。 神も、神の子もいないところが、仏教の仏教たるゆえんだろ…
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連載11349回 リモート講演の盲点 <4>
(昨日のつづき) このところ困惑している問題がある。 それは講演の途中で、わけもなく涙が流れてくるときがあることだ。 べつに悲しい話をしているわけではない。感激して感情移入しているわけでも…
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連載11348回 リモート講演の盲点 <3>
(昨日のつづき) 先月から今月にかけて、3回ほど映像での講演をやって思ったのは、そういうことである。 要するに映像や音質について、主催者側がほとんど無関心なのだ。 <きこえていればいい> …
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連載11347回 リモート講演の盲点 <2>
(昨日のつづき) 人間の声というものは、それが自然に再生されれば、それだけで十分に魅力的なものなのだ。 それに、さらにエンジニアの才能が加わって加工されれば、どんな声でも魅力的に響く。 プ…
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連載11346回 リモート講演の盲点 <1>
ずっと思っていたことがある。 いつか言おうと考えながら、なぜか機会を逸してしまっていたのだ。 以前、ある大学で話をしたことがあった。新しい大学で、階段教室のような立派なホールだった。椅子も上…
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連載11345回 現代史の深淵を覗く <4>
(昨日のつづき) 7年前に出した『異端の人間学』の第2部は、<見えない世界の力>という章だ。 小見出しだけを列挙しておく。 ◇「ナ・ウクライーネ」と「ヴ・ウクライーネ」の違い ◇ウク…
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連載11344回 現代史の深淵を覗く <3>
(昨日のつづき) 深淵を覗く者は覗き返される。 ふとアンジェイ・ワイダの映画『灰とダイヤモンド』を思い出した。原作はポーランド作家のアンジェイエフスキ。 第2次大戦終了後、テロリストのマチ…
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連載11343回 現代史の深淵を覗く <2>
(昨日のつづき) 幻冬舎というのは不思議な出版社である。不思議というより、奇妙な、といったほうがいいかもしれない。 要するにヘンな会社、といっては失礼だが、いっぷう変ったところのある出版社なの…
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連載11342回 現代史の深淵を覗く <1>
一昨日、3度目のワクチン接種を受けた。コロナの感染防止はともかく、高齢者の重症化には効果があるというので出かけたのだ。 桜はほころび始めたようだが、いまはとても花見の気分ではない。 新聞はニ…
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連載11341回 新たなデラシネの時代 <5>
(昨日のつづき) 何度も同じことを繰り返して言うようだが、デラシネとは「根なし草」のことではない。 また単なる無国籍の放浪者でもない。現代のデラシネとは、はっきり言えば難民のことだ。 政治…
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連載11340回 新たなデラシネの時代 <4>
(昨日のつづき) 以前、もうどれくらい前の事か忘れてしまったが、『歌は国境を越えて』というテレビ・ドキュメント番組を作ったことがある。 江戸にむかう途中、遭難してロシアに渡り、長い年月をサンク…
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連載11339回 新たなデラシネの時代 <3>
(昨日のつづき) デラシネとは<故郷を持たない人びと>ではない。 <故郷を追われた人びと>である。 国策、戦争、災害、その他の情況のなかで、生地から引き離された人びとのことだ。 かつて平…
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連載11338回 新たなデラシネの時代 <2>
(昨日のつづき) <流亡の民>という言葉がある。 <流民>という言い方もある。 ともに、ただ流れ歩く民のことではない。さすらい人、といったロマンチックなイメージでもない。 飢饉・災害・戦禍…
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連載11337回 新たなデラシネの時代 <1>
<デラシネ>という言葉が、誤解されて用いられてからひさしい。 今なお「根なし草」とか、「流れ者」とかいった語感で用いられているようだ。 古い広辞苑を見ると、<故郷を喪失した人、根なし草>と、あ…
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連載11336回 内憂外患の3月に <5>
(昨日のつづき) その写真は『ウクライナを知るための65章』のなかの第9章「ドンバス地方」という部分に挿入されている風景写真の一枚である。 とりたてて目立つ写真ではない。画面の左側に黒い丘のよ…
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連載11335回 内憂外患の3月に <4>
(昨日のつづき) 仕事部屋の壁際に積みあげてある本の中から、一冊を抜きだして再読した。 『ウクライナを知るための65章』という、ソフトカバーにしてはずしりと重い<エリア・スタディーズ>シリーズの…
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連載11334回 内憂外患の3月に <3>
(昨日のつづき) 内外の情勢も緊張しているが、個人的な体調も危機線上にあって、まさに内憂外患。 数年前から脚部の不調が続いている。いまでは杖を使わなければ通常の歩行も困難になってきた。ことに左…
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連載11333回 内憂外患の3月に <2>
(昨日のつづき) 自分の本の話で恐縮だが、以前、『マサカの時代』(新潮新書)というのを出したことがあった。 そんなに売れなかったし、あまり話題にもならなかった。だが、今でもときどき新書の棚で見…