歌舞伎界のジャッキーとは私めでございます
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<最終回>とっつきにくいと思われる方はまず「3階席」から
芝雀は本紙の読者層に多い中高年男性に、「ぜひ、歌舞伎を見に足を運んでいただきたい」と言う。一度も見たことがない人は、たいていが「とっつきにくくてなじめない」と敬遠する。そういう方々に芝雀が語りかける…
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<第9回>当代一の立役・吉右衛門の相手役でメキメキと…
前回登場した芝雀の友人で落語家の林家正雀は芝居噺を得意とするくらいだから、当然歌舞伎ファンである。私よりもよく見ているので、一観客として芝雀を評してもらった。 「絶対気を抜かない役者さんですよ…
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<第8回>“雀”つながりで落語家・林家正雀と「すずめ二人會」
芝雀は落語家の林家正雀と親しい。正雀は熱烈な歌舞伎ファンで、師匠林家彦六譲りの芝居話を十八番にしている。2人とも芸名に「雀」が入っている縁から、人を介して付き合いが始まった。私は演芸評論家として正雀…
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<第7回>よくある歌舞伎の誤解 女形とオカマは“別物”です
歌舞伎をよく知らない向きは、女形の役者は普段も「オネエキャラ」だと思っている人が多いらしい。近年、テレビのバラエティー番組にある女形が出演して、オネエキャラのタレントとオネエ言葉でおしゃべりすること…
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<第6回>女性の心情を深く表現する「役の性根」が女形の勝負
今回は女形の歴史と、歴代の名女形について記したい。 歌舞伎は出雲阿国の踊りから始まり、女歌舞伎に引き継がれたが、1629年、時の江戸幕府は「風俗を乱す」として女性の出演を禁じた。やむを得ず、…
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<第5回>「若女形」をお家芸とする芝雀が襲名披露で演じるのは…
得意な芸を「お家芸」とか「十八番」と言うが、どちらも歌舞伎からきている。役者の家に伝わる演技や演目がお家芸で、たとえば市川團十郎家に伝わるお家芸、十八の演目は「歌舞伎十八番」といわれる。そこから十八…
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<第4回>“名コンビ”故・三津五郎とはプライベートでも親友で…
芝雀の系図を見ると、まさに「華麗なる一族」である。 母の晃子は7代目松本幸四郎の長女で、きょうだいに11代目団十郎、8代目幸四郎(後の松本白鸚)、2代目尾上松緑がいる。従って、当代の幸四郎と…
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<第3回>父とパリの一流ホテルに泊まるも…「私はメイド室」
初舞台は昭和36年の歌舞伎座で、6歳で大谷廣松を名乗った。9歳の年、父の雀右衛門襲名、兄の大谷友右衛門襲名と同時に7代目中村芝雀を襲名。立教小学校時代は、子役としての舞台出演がある月には授業を休んで…
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<第2回>まだ父の芸をなぞるので精いっぱいです
歌舞伎役者の襲名はどのような段取りで決まるものなのか。はじめに、勧進元の松竹の許しを得た上で、幹部俳優の承諾を得なくてはならない。正式に決定し、記者会見が開かれてから披露興行まで1年半前後の準備期間…
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<第1回>襲名披露は今回が“初体験”のようなものなんです
今年の初芝居、すなわち正月の歌舞伎公演は歌舞伎座、新橋演舞場、国立劇場、浅草公会堂の4カ所で開催されている。どこの劇場も客がよく入っているようで、興隆ぶりがうかがえる。中でも注目は、3月に5代目中村…