孤独の映画
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おもいでの夏(71年 ロバート・マリガン監督)
思春期の少年を描いた71年公開の映画ではツルゲーネフの小説が原作の「初恋」(ジョン・モルダー・ブラウン主演)や母との近親相姦を描いた「好奇心」(ルイ・マル監督)などがある。本作もそうしたひとつだ。 …
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一粒の麦(1958年 吉村公三郎監督)
農家の次男坊などが都会の労働力として駆り出される「集団就職」は1954年に世田谷区桜新町の商店街が始めたといわれる。本作は福島県の中学を出て東京に出た少年少女の群像劇だ。 登場するのはあどけ…
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めぐり逢わせのお弁当(2013年 リテーシュ・バトラ監督)
インド映画といえば老若男女が音楽に合わせて踊り狂うイメージが強いが、本作は大違い。男と女の不思議な出会いの物語だ。原題の「The Lunchbox」をこの甘ったるい邦題にしたのは女性を呼び込むためだ…
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世にも怪奇な物語(1968年)
エドガー・アラン・ポーの小説を3人の名匠が映像化したオムニバス作品。今月6日に「HDリマスター版BD」が発売される。 ロジェ・ヴァディム監督「黒馬の哭く館」とルイ・マル監督「影を殺した男」は…
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カジノ(1995年 マーティン・スコセッシ監督)
自民党のゴリ押しでカジノ法が成立。国民がギャンブルでスッテンテンになる日が近づいた。 本作はラスベガスの実話をドラマ化。主人公はギャングが牛耳るカジノ「タンジール」の責任者サム(ロバート・デ…
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ラブホテル(1985年 相米慎二監督)
第7回ヨコハマ映画祭作品賞を受賞。にっかつロマンポルノを代表する名作が先日、BDで発売された。主演の速水典子の解説付きだ。 街金に巨額の借金をした村木(寺田農)はヤクザに妻を寝取られて絶望。…
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カンバセ―ション…盗聴…(1973年 F・コッポラ監督)
1974年のカンヌ国際映画祭グランプリを獲得。F・コッポラ監督の意欲作だ。 主人公はサンフランシスコの盗聴屋ハリー(ジーン・ハックマン)。ある昼下がり、彼は広場を歩き回るマークとアンの若きカ…
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しあわせのかおり(2008年 三原光尋監督)
公開時、映画宣伝マンの細谷隆広氏に「地味だけど素晴らしい作品です」と薦められて見た。これが大当たり。大人の映画だ。 北陸の田舎町。小さな中華料理屋の店主・王(藤竜也)を百貨店社員の貴子(中谷…
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ジョーズ(1975年 スティーヴン・スピルバーグ監督)
S・スピルバーグ監督の名を世界に知らしめたヒット作。 ストーリーはご存じだろう。観光地のアミティ島に人食いザメが出現。若い女性が殺される。新任の警察署長ブロディ(ロイ・シャイダー)はビーチの…
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アラバマ物語(1962年 ロバート・マリガン監督)
J・コルトレーンに「アラバマ」という名曲がある。1963年9月、アラバマ州バーミンガムの教会で差別主義者のダイナマイトによって黒人の少女4人が殺害された。コルトレーンはこの事件に衝撃を受け、怒りと悲…
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不知火檢校(1960年 森一生監督)
「視覚障害者」というとハンディキャップに負けず懸命に生きているイメージが強い。それを大きく傷つけたのが麻原彰晃だったが、オウム事件の35年前に公開された本作の主人公・杉の市(勝新太郎)も、麻原に負けず…
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ノーカントリー(ジョエル・コーエン イーサン・コーエン監督)
コーエン監督には「ファーゴ」「バーバー」など、人がちょっとした思い付きや欲望で泥沼にはまる作品が少なくない。本作もそうした一本だ。 1980年の米国。妻とともに貧しく暮らしているモス(ジョシ…
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「続 悪名」(1961年 田中徳三監督)
全16作の人気シリーズの第2弾。タイトルは「悪名」だが、主人公の朝吉(勝新太郎)は心優しい正義漢だ。 第1作の時代は昭和初期。無頼漢の朝吉が大阪のやくざ吉岡親分の客分になり、松島組の遊女を足…
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アルジュの戦い(1966年 ジッロ・ポンテコルヴォ監督)
フランスの植民地だったアルジェリアの独立戦争を描き、1966年ベネチア国際映画祭グランプリを獲得した問題作。先週12日、《最終盤BD》が発売された。 独立戦争は54年から62年まで続き、本作…
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羅生門(1950年、黒沢明監督)
芥川龍之介の「藪の中」を黒沢監督が映像化した名作。今月23、27日、飯田橋ギンレイホールで上映される。 京・山科の山中で樵(きこり)の男(志村喬)が旅の武士(森雅之)の死体を発見。後日、盗賊…
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狼たちの午後(1975年 シドニー・ルメット監督)
本作は邦題がおかしい。原題が「Dog Day Afternoon」だから、狼ではなく野良犬だろう。そもそも「dog day」は盛夏の意味。「狼の挽歌」(1970年)、「狼よさらば」(74年)のヒット…
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映画女優(1987年 市川崑監督)
田中絹代は木下恵介監督の「楢山節考」(1958年)で健康な前歯を抜き、おりん婆さんを演じた逸話で知られる。本作はその大女優を吉永小百合が演じた劇映画。 1925年、絹代は極貧生活を脱するため…
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ペーパー・ムーン(1973年 ピーター・ボグダノヴィッチ監督)
1970年代前半のハリウッド映画は「ゴッドファーザー」(72年)や「ポセイドン・アドベンチャー」(同)、「エクソシスト」(73年)といった派手な活劇がヒットした。そんな中、一服の清涼剤となったのがこ…
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ジャッカルの日(1973年 フレッド・ジンネマン監督)
無駄のない映画だ。 1962年、フランスのドゴール大統領はアルジェリアの独立を認めたことから、右翼の「秘密軍事組織(OAS)」に命を狙われていた。OASは大統領襲撃に失敗し、スナイパーのジャ…
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世界大戦争(1961年 松林宗監督)
ネタバレになるが、本作は世界が核ミサイルで壊滅するカラー映画。10日まで「ラピュタ阿佐ケ谷」で上映中だ。 運転手の田村(フランキー堺)は東京に家を買い、妻子を養っている。長女の冴子(星由里子…