検察vs政界 経済事件記者の検証記
-
【東京佐川急便事件】異聞(146)罰金刑を受けた金丸は議員辞職、竹下派は分裂
朝日新聞が「金丸前副総裁を立件へ 本人の出頭を打診 東京地検」と1面で打ったのは1992年9月9日の朝刊だ。読売も同日夕刊で「佐川急便5億円献金 金丸前副総裁立件へ 授受は(平成)2年1月 量的制限…
-
【東京佐川急便事件】異聞(145)「捜査を呼び込んだ」と派内で指弾され、苦境に立つ小沢一郎
派閥会長の金丸信に「何があっても軽々に動くな」と言い残してヨーロッパ視察旅行に飛び立った梶山静六が帰国するのは9月3日。手遅れだった。 特捜部が金丸秘書の生原正久の任意聴取に乗り出すのはその…
-
【東京佐川急便事件】異聞(144)特捜部を警戒する梶山静六は外遊で不在にした
マスコミの報道も、金丸信、小沢一郎ら政界側の判断に影響したかもしれない。 8月22日に朝日新聞やNHKが5億円闇献金報道をして以降、両社を含めたマスコミ報道は、おおむね、闇献金を政界のドンの…
-
【東京佐川急便事件】異聞(143)「先行自白」しながら金丸、小沢らは“一件落着”と考えた
事件記者の立場からすると、金丸信本人が5億円闇献金の受領を認め、しかも、受領の時期を、時効が完成していない1990年初めと告白すれば、捜査陣が政治家本人の寄付の量的制限違反の「先行自白」と受け止め、…
-
【東京佐川急便事件】異聞(142)小沢の報告を受けた金丸は「もう認めざるをえない」と決意
小沢一郎は、東京佐川元社長、渡辺広康の弁護人、赤松幸夫との「さし」の会談後、金丸信にその内容を報告した。それを機に、金丸は「認めざるをえない」と覚悟を決め、「先行自白」会見に向け、動き出す。金丸の秘…
-
【東京佐川急便事件】異聞(141)特捜部が関心を持っていた別派閥の領袖と渡辺元社長の関係
東京佐川元社長の渡辺広康の弁護人、赤松幸夫は、金丸信の金庫番秘書だった生原正久に、渡辺は検事から「別の派閥の領袖」との関係をしつこく追及されていた、と伝えたという。 この「別の派閥の領袖」…
-
【東京佐川急便事件】異聞(140)渡辺元社長の弁護人は5億円受領を認めた金丸会見を見て驚いた
金丸信の指示で、小沢一郎は東京佐川元社長、渡辺広康の弁護人、赤松幸夫と差しで話し合った。その会談の中身について後に小沢は国会の証人喚問で「金丸会長の問題と直接関連することではなかった」旨を証言した。…
-
【東京佐川急便事件】異聞(139)小沢一郎は渡辺元社長の弁護人と「さし」で会談
金丸信の金庫番秘書だった生原正久によれば、金丸は、頼りにしていた小沢一郎との話し合いで、5億円闇献金の受領を認める方針を固めたという。 朝日新聞の1992年9月25日朝刊の、5億円事件をめぐ…
-
【東京佐川急便事件】異聞(138)小沢一郎は「5億円のこと、最後までうそをつき通せますか」と聞いた
金丸信の臨床尋問での証言と金庫番秘書の生原正久の国会証言は重要な部分で食い違っていた。その理由を生原は筆者にこう説明した(太字は「法と経済のジャーナル」から引用)。 親父が臨床尋問で語ったの…
-
【東京佐川急便事件】異聞(137)5億円持参の連絡が来たとき金丸は麻雀の最中だった
金丸信の金庫番だった生原正久は、5億円の授受の「真相」について、筆者に次のように話した。(太字は「法と経済のジャーナル」から引用、カッコ内の注記は筆者) 国会証言での公式見解とはかなり異なる…
-
【東京佐川急便事件】異聞(136)車のトランクから手提げ袋を3つ。「まあどうぞお使いください」」と…
金丸信の5億円闇献金事件に戻る。 では、肝心のカネの授受の場面はどうだったのか。まずは、事件終結後の1992年12月11日、衆院予算委員会に証人喚問された金丸の金庫番秘書、生原正久の証言。事…
-
【東京佐川急便事件】異聞(135)リクルート事件報道のレジェンド記者とも信頼関係
「永田町では笑われてしまう金丸信の正直さ」について話を続ける。 ちょっと脇道にそれるが、金丸は、筆者が尊敬する朝日の先輩記者で元朝日学生新聞社社長の山本博の取材先の一人だった。 201…
-
【東京佐川急便事件】異聞(134)「うそをついて仲間に迷惑をかけるのは嫌だ」と金丸は言った
時事通信政治部記者だった田崎史郎がペンネームで執筆した「経世会 死闘の七十日」によると、5億円闇献金発覚後、「どうしますか」と聞いた金庫番秘書の生原正久に対し、金丸信は「きみを青木伊平のようにしたく…
-
【東京佐川急便事件】異聞(133)「きみを青木伊平にしたくない」金庫番秘書の生々しい証言
「金丸先行自白」問題で取材に応じてくれた生原正久は最も金丸信に近い存在だった。闇献金事件でも、渡辺広康から金丸宛ての現金5億円を直接受け取った。 1944年生まれ。生原家は山梨の名門で縁者には…
-
【東京佐川急便事件】異聞(132)政界事件史に残る大きな謎「金丸信の先行自白」
金丸信の5億円闇献金事件について東京地検特捜部は捜査する気がなかった。なのに、金丸は朝日新聞の報道を受けて記者会見し、献金の事実を認め、自ら捜査を引き寄せた。 金丸はなぜ、「飛んで火に入る」…
-
【東京佐川急便事件】異聞(131)「55年体制」の幕を引いた金丸5億円闇献金捜査
世論は、金丸信に対する東京佐川急便からの5億円闇献金に対する特捜部の捜査を求めていた。特捜部は最高検とも協議のうえ、1992年9月5日から金丸の金庫番の秘書、生原正久の取り調べに乗り出す。 …
-
【東京佐川急便事件】異聞(130)竹下登ほめ殺し封じの金丸関与も実名報道
金丸信の衝撃の記者会見の翌日の各紙朝刊は金丸もので埋め尽くされた。 朝日新聞1面は、本記記事とは別に「東京佐川急便の献金、『首相経験者・現閣僚にも』 渡辺元社長供述」として、東京佐川社長の渡…
-
【東京佐川急便事件】異聞(129)金丸会見で朝日の司法記者クラブは「やった」と大騒ぎ
金丸信の会見で最も驚いたのは、5億円闇献金を特報した朝日新聞司法記者クラブキャップの松本正だったかもしれない。先の鼎談で松本は次のように振り返った。(太字部分) 松本‥あのころは、会社の近く…
-
【東京佐川急便事件】異聞(128)「ありゃりゃ、認めちゃった」特捜部長も驚いた金丸会見
金丸信の会見はテレビで生中継された。検察幹部の多くも見ていた。衝撃の内容だった。特捜部長だった五十嵐紀男は後に「ありゃりゃ、認めちゃった。これは大変だ、と。初めは何らかの政治的謀略じゃないのか、と疑…
-
【東京佐川急便事件】異聞(127)5億円受領を認める金丸会見に耳を疑った
金丸信に対する東京佐川元社長、渡辺広康の5億円闇献金を各社が一斉に報道した後、当の金丸側は沈黙した。それが不気味だった。 闇献金をスクープした朝日新聞の司法記者クラブは金丸側の出方を気にしつ…