検察vs政界 経済事件記者の検証記
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【東京佐川急便事件】異聞(126)大刷り後、朝日は「5億円を打つ」とNHKに連絡
金丸5億円闇献金報道でつばぜり合いを演じた朝日新聞とNHK。ともに司法記者クラブのキャップを務めた松本正と小俣一平の話は続く(太字部分)。 朝日、NHKなどの報道で逃げ切れないと観念した金丸…
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【東京佐川急便事件】異聞(125)NHKも同レベルの検察情報をつかんでいた
「『金丸氏側に5億円』と供述」──朝日新聞の8月22日朝刊特ダネは、政権与党に衝撃を与え、戦後の保守政治の転換に向け背中を押すことになる。 報道各社は一斉に朝日の後を追い、渡辺の5億円闇献金供…
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【東京佐川急便事件】異聞(124)金丸邸で電話に出たのは長男の嫁。竹下登の長女だった
朝日新聞の金丸5億円闇献金のスクープ記事を後押しした弁護士は、長く朝日新聞の法律顧問を務めてきた。法律のプロとして常に冷静、沈着だが、根っこには強い正義感がある人だ。筆者も訴訟リスクのあるいくつかの…
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【東京佐川急便事件】異聞(123)編集局内の反対でボツになりかかったスクープ記事
スクープ報道前夜の1992年8月21日、朝日新聞司法記者クラブキャップだった松本正は記事の出稿を決断した。しかし記事掲載までに、朝日の編集局では掲載をめぐり、すったもんだがあった。松本の話はつづく(…
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【東京佐川急便事件】異聞(122)争点ずらしのアイデア、「これなら裁判になっても完敗はない」
いったんはスクープ記事の出稿をペンディングにした当時の司法記者クラブキャップ、松本正の話は続く(太字部分)。 松本‥真実性、真実相当性の証明ができないとして裁判で負けてしまえば、記事は結果と…
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【東京佐川急便事件】異聞(121)取材源から「検察はおまえたちを守らないぞ」と
報道が困難に思えたスクープ記事はいかにして日の目を見ることになったのか。 金丸5億円闇献金を報道し名誉毀損で訴えられても記者には情報源の秘匿義務があり、情報源は明かせない。複数の検察関係者か…
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【東京佐川急便事件】異聞(120)「金子知事立件」を他紙に抜かれ、逆転を狙ったのが発端
朝日新聞の司法記者クラブキャップだった松本正が、東京佐川事件で政界ルートの立件はないと判断したのは、尊敬する検事、吉永祐介の教えが基準になっていたからだった。それは当時の検察の起訴基準でもあった。後…
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【東京佐川急便事件】異聞(119)スクープの舞台裏を朝日新聞司法クラブキャップが語る
金丸信失脚のきっかけとなった1992年8月22日の朝日新聞のスクープはいかにして生まれたのか。まず、当時、朝日新聞司法記者クラブキャップだった松本正に「5億円闇献金報道」の顛末、舞台裏の苦労話を語っ…
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【東京佐川急便事件】異聞(118)流れを変えた朝日新聞の「5億円闇献金」供述報道
ものにならない事件については「保秘」のガードは下がる。 東京地検特捜部内では、副部長の佐渡賢一率いる東京佐川急便事件捜査班の政界ルート捜査が不調だとの認識が広まっていた。同時に「渡辺広康の政…
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【東京佐川急便事件】異聞(117)暗礁に乗り上げた「金丸5億円闇献金」捜査
金丸5億円闇献金捜査は間もなく暗礁に乗り上げる。先にも触れたが、東京佐川急便元社長、渡辺広康から金丸信に提供された5億円は、政治家本人に年間に150万円を超える寄付を禁止している政治資金規正法に抵触…
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【東京佐川急便事件】異聞(116)弁護人は「接見ノートに金丸以外の政治家の記述はなし」
今年6月中旬、東京佐川急便元社長、渡辺広康の弁護人だった弁護士の赤松幸夫を訪ね、特捜部の「渡辺広康の政治家への現金交付状況一覧表」(1992年5月27日)を示し、接見ノートの記載内容との関係を聞いた…
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【東京佐川急便事件】異聞(115)元特捜部長は「立件しない」約束を全否定
東京佐川元社長、渡辺広康との接見ノートの違法押収を逆手にとり、ノート記載の事実では立件しないとの約束が特捜部とできたとする弁護士、赤松幸夫。対する特捜部長の五十嵐紀男の言い分は違う。 「赤松君…
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【東京佐川急便事件】異聞(114)渡辺元社長と弁護士の接見ノートを押収した特捜部の違法捜査
特捜部の執拗な取り調べにもかかわらず、政治家への裏金については曖昧な供述を繰り返した東京佐川元社長の渡辺広康。それは、渡辺の精神力の強さによるところが大きかったと思われるが、筆者はもうひとつ、渡辺を…
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【東京佐川急便事件】異聞(113)物理的、心理的拷問もあった特捜部の取り調べ
ここで、簡単に当時の特捜部の取り調べの実態に触れる。 断っておくが、恥ずかしながら、当時の筆者は、東京佐川事件での検察の捜査手法について掘り下げた取材はしていなかった。だから、東京佐川元社長…
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【東京佐川急便事件】異聞(112)洗いざらい語れば政界は大混乱必至だった
検察の政治家捜査への非協力を貫いた東京佐川元社長の渡辺広康。渡辺が洗いざらい特捜部に裏献金の実態を語れば、与党から野党まで大きなダメージを負うのは火を見るより明らかだった。 善意に解釈すると…
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【東京佐川急便事件】異聞(111)金丸への献金は背任動機と関わるため認めざるを得なかった?
検察に特別背任の嫌疑をかけられた東京佐川急便元社長の渡辺広康の心境を推測するとき、外せないのが、バブル崩壊という市場環境の激変だ。 渡辺が稲川会会長の石井進や平和堂不動産社長に湯水のように巨…
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【東京佐川急便事件】異聞(110)渡辺元社長が金丸・石井コネクションを詳述したわけ
東京佐川急便元社長の渡辺広康は特捜部の取り調べに対し、竹下ほめ殺し封じなど金丸信=石井進コネクションについては詳述しながら、政界ルート捜査では非協力を貫いた。それはなぜか。筆者は、当時の渡辺の心境を…
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【東京佐川急便事件】異聞(109)カネがばらまかれても摘発する手段は規正法だけ。しかもザル法…
元東京地検特捜部長、五十嵐紀男の話は続く(太字部分)。 制度としていいのかどうかわからないが、あれだけ、政治家にカネがばらまかれていて、それに対して検察が摘発する手段は政治資金規正法しかなか…
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【東京佐川急便事件】異聞(108)「特捜一」の実力検事でも「落ちなかった」渡辺元社長
東京地検特捜部長として東京佐川事件の捜査を指揮した五十嵐紀男に退官後、政治家ルートの捜査が不調に終わった理由を尋ねた。今回は、その続きである(太字部分)。 ──渡辺さんは金丸さんの依頼で稲川会…
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【東京佐川急便事件】異聞(107)「現金交付一覧表」の大半は渡辺の供述メモだけ
東京地検特捜部は「渡辺広康の政治家への現金交付状況一覧表」(1992年5月27日)について、一覧表記載の政治家に渡辺側から記載額のカネが動いた蓋然性は高い、と判断していた。 しかし、いずれの…