検察vs政界 経済事件記者の検証記
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【東京佐川急便事件】異聞(106)政治家への資金提供原資の一部は平和堂不動産社長からと見立て
東京地検特捜部は23億円を超える東京佐川元社長の渡辺広康の裏献金の原資を特定するため、東京佐川急便や渡辺広康元社長個人の銀行口座を調査。銀行からの融資や証券会社からの入金、東京佐川からの貸し付けなど…
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【東京佐川急便事件】異聞(105)元首相、派閥領袖、幹事長、大臣経験者…へ23億円
特捜部が作成した「渡辺広康の政治家への現金交付状況一覧表」(92年5月27日現在)を記す。 Aは当時の政界長老の元首相、BはAの派閥の元官房長官、Cは野党党首、Dは短命政権に終わった元首相、…
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【東京佐川急便事件】異聞(104)政治家への資金提供について渡辺元社長の口は重かった
佐川急便会長の佐川清、東京佐川急便元社長の渡辺広康とも、それぞれ有力な政界人脈を持っていたことは先に触れた。佐川グループから巨額の資金が政界に流れ込んでいたのは知る人ぞ知る事実だった。 国会…
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【東京佐川急便事件】異聞(103)特捜部が見立てた金丸5億円闇献金の調達経理操作
特捜部が作成した1992年8月14日付の捜査報告書「金子新潟県知事支援の政治団体に係る政治資金規正法違反事件」は、新潟県知事の金子清側に対する詳細な捜査結果を記述する一方、「金丸への献金」の一項を設…
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【東京佐川急便事件】異聞(102)金子知事への資金調達で全国の佐川主管店から現金が東京佐川へ
1992年6月下旬に作成されたとみられる特捜部の「金子知事ルート」に関する「今後の捜査方針」は、「事案概要」で、 「君(健男)知事辞任によって行われた平成元年6月4日投票(5月15日告示)の新…
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【東京佐川急便事件】異聞(101)稲川会ルートと同時並行で「金子知事ルート」捜査が進んでいた
「金子知事ルート」は「稲川会ルートの着手前」から捜査が進んでいた。 東京地検特捜部の政界資金捜査班が、稲川会ルートの捜査着手前の1992年5月11日に作成した「新潟知事選挙の佐川各社分担額メモ…
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【東京佐川急便事件】異聞(100)金丸闇献金を政治資金規正法違反で立件すべく模索
東京佐川元社長の渡辺広康が金丸信側に提供した5億円の裏金について、東京地検特捜部副部長の佐渡賢一は、政治家摘発の王道である収賄容疑で立件するつもりははなからなかったと思われる。 金を受領した…
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【東京佐川急便事件】異聞(99)東京佐川問題は参院選に影響与えず、宮沢首相は上機嫌
折しも、宮沢政権の発足から8カ月余りの勤務評定となる参院選が1992年7月8日に公示され、26日に投開票を迎えた。自民は改選対象の127議席の過半数の68議席を獲得。野党第1党の社会党は改選議席維持…
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【東京佐川急便事件】異聞(98)特別背任の動機報道では「金丸関与」には触れられなかった
結局、朝日新聞が東京佐川急便特別背任事件の稲川会ルートの動機について報道したのは、東京地検特捜部が同ルートで東京佐川元社長、渡辺広康らを起訴して約2カ月後の7月28日朝刊だった。 1面の本記…
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【東京佐川急便事件】異聞(97)検察の冒頭陳述は前打ちスクープの支えのひとつ
東京佐川元社長の渡辺広康が稲川会側に巨額資金を垂れ流した特別背任の動機は、金丸信=渡辺=石井進による皇民党事件の封じ込めだった──。 検察がそう見立てていることをキャッチしても、また、東京佐…
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【東京佐川急便事件】異聞(96)冒頭陳述から金丸らの名を消しても無意味だった
検察上層部は特捜部に冒頭陳述から金丸信=石井進による竹下ほめ殺し封じについて詳細な記述を削除するよう厳命した。しかし、それはほとんど意味がなかった。 というのは、捜査段階で金丸が右翼封じを渡…
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【東京佐川急便事件】異聞(95)次長検事の土肥は現場派の実力検事
特捜部が起案した冒頭陳述の草稿から「政治家名を削れ」と言ってきた最高検。その急先鋒だったと特捜部長だった五十嵐紀男が語った最高検次長検事の土肥孝治は、筆者が毎日新聞の大阪司法記者クラブで検察取材を担…
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【東京佐川急便事件】異聞(94)検察の冒頭陳述から消えた金丸の実名とほめ殺し封じの詳細
繰り返しになるが、特捜部の「稲川会ルート」の処理報告(1992年5月27日)は、東京佐川社長の渡辺広康らが稲川会に巨額資金を垂れ流すことになった動機が、87年10月末の自民党総裁選・首相選びに際し、…
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【東京佐川急便事件】異聞(93)接触のあった自民党議員は金丸、森、小渕、梶山ら7人
政界は、日本皇民党側に竹下ほめ殺しの中止を求めて再三アプローチしていた。すべて失敗に終わったが、それ自体がニュースだった。その全容を語ったとされる皇民党2代目総裁のOの供述調書が明らかになるのは19…
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【東京佐川急便事件】異聞(92)「(竹下に)反省を促すため」初耳もあった皇民党2代目総裁インタ
日本皇民党の2代目総裁のOが話してくれた竹下登に対する街宣活動の実態や中止の経緯──。 Oのインタビューは92年7月28日朝刊社会面の記事「竹下首相誕生の背後で暗躍 石井・稲川会前会長ら右翼…
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【東京佐川急便事件】異聞(91)日本皇民党の2代目総裁に「竹下攻撃封じ」を取材
ここで当時の取材雑観を記す。 1992年2月に東京佐川急便事件がはじけたばかりの初期のころは、東京地検特捜部をカバーする司法記者クラブが出稿する、検察を主語とする本記記事のサイド、受け記事を…
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【東京佐川急便事件】異聞(90)犯罪の嫌疑対象に当たらない政治家の行為を法廷で暴くのはタブー
東京佐川急便事件(稲川会ルート)の処分に合わせて東京地検特捜部が作成したメモ「総括(基本的な事実)」がある。作者の記載はないが、メモが列挙する事実について裏付けを取り、肉付けすると、そのまま冒頭陳述…
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【東京佐川急便事件】異聞(89)検察上層部は、金丸=石井のほめ殺し封じの報告を驚愕の思いで受け止めた
特捜部が検察上層部に提出した「稲川会ルート」の処理報告は、さらに「佐川清の宥恕を得るための工作」として以下のように記した(太字部分)。 渡辺・元常務のSは同年(1991年)7月25日に東京佐…
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【東京佐川急便事件】異聞(88)東京佐川から石井進側への1000億円、半分以上無担保
東京地検特捜部が検察上層部に報告した「東京佐川急便特別背任事件(稲川会ルート)処理報告」に戻る。 続いて「石井によるトラブル解決と債務保証等との関係」。報告は「渡辺及び北祥産業社長は、上記各…
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【東京佐川急便事件】異聞(87)銃弾3発…「稲川会ルート」捜査中に起きた右翼の金丸襲撃事件
東京佐川元社長、渡辺広康や稲川会会長の石井進の工作で、1990年秋の右翼団体による金丸信に対する街宣攻撃はいったん収束したが、1年半後に事件が起きる。 92年3月20日夕、金丸が栃木県足利市…