検察vs政界 経済事件記者の検証記
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【東京佐川急便事件】異聞(246)受領や使途でいろんなケースを想定し取り調べの留意点を列挙
東京地検特捜部が金丸信の5億円闇献金の使途捜査に際して作成した政治家尋問マニュアルの話を続ける。故意や資金の帰属の認識が犯罪成立に深くかかわる政治資金規正法。マニュアルは法律の素人にはわかりにくい領…
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【東京佐川急便事件】異聞(245)政治家の事情聴取には日本経済新聞も使われた
そして、東京地検特捜部が応援検事たちのために作成したマニュアルはいよいよ「事情聴取の内容」、つまり、尋問の要点に触れる。重要ポイントには下線が引かれた(太字は引用)。 1 前提事項 政治…
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【東京佐川急便事件】異聞(244)呼び出しを拒む政治家をどう説得するかも細かく手引き
金丸信の5億円配布先捜査をめぐる特捜部の〈秘〉印の取り調べマニュアルの話を続ける。 政治家の呼び出しの方法に続き、マニュアルは、任意聴取ゆえに呼び出しを拒否する議員が現れた場合、どう説得する…
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【東京佐川急便事件】異聞(243)応援検事のために政治家取り調べマニュアルが作成された
金丸信が東京佐川元社長の渡辺広康から受け取った5億円闇献金が1990年2月の総選挙に竹下派から立候補した議員ら六十数人に配られた、とされる政治資金疑惑。 92年11月から12月にかけ、東京地…
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【東京佐川急便事件】異聞(242)落選候補に続き当選1,2回生23名の取り調べに乗り出す特捜部
1992年12月2日に開かれた最高検の「佐川事件会議」。会議メモによると、金丸信の金庫番秘書、生原正久の国会証人喚問前の再聴取の要否の検討に続き、5億円の使途をめぐる告発事件の捜査状況と処理見込みに…
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【東京佐川急便事件】異聞(241)一転、議員聴取に方針転換し落選議員らをまず取り調べ
5億円闇献金の使途をめぐり政治資金規正法違反などで告発された金丸信らについて、不起訴の方向で作成されたとみられる東京地検特捜部の捜査メモ「2段階処理の理由」(1992年11月2日)。そこには被告発人…
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【東京佐川急便事件】異聞(240)検察は金丸本人聴取の前に不起訴に傾いていた
金丸信が東京佐川元社長の渡辺広康から受け取った5億円闇献金の使途をめぐる捜査で、東京地検特捜部は1992年11月7日、金丸本人を取り調べた(太字は捜査記録から引用)。 金丸は「渡辺(広康)か…
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【東京佐川急便事件】異聞(239)配布先議員の名前特定のため、金庫番秘書を改めて9回聴取
東京地検特捜部が1992年10月27日に作成した「金丸ら告発事件捜査中間報告」は、金丸信の金庫番秘書だった生原正久の再聴取の結果を次のようにまとめている(太字部分は引用)。 特捜部が事件のキ…
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【東京佐川急便事件】異聞(238)検察同様、苦悩していた国税庁。その動きを示した極秘メモを公開
同じころ、国税当局も金丸信の5億円闇献金の税務処理について頭を痛めていた。東京地検特捜部の捜査記録の中に、「極秘」の印が押された国税当局のメモがあった。検察の5億円使途解明捜査当時に、検察との打ち合…
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【東京佐川急便事件】異聞(237)5億円闇献金受領、竹下派議員らへの陣中見舞い配布とも所得税法違反適用は困難
金丸信が竹下派所属議員ら六十数人に5億円を配ったとされる事件に関する東京地検特捜部の「金丸告発事件メモ」(1992年10月13日作成)。政治資金規正法違反だけでなく、所得税法違反(脱税)の適用も難し…
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【東京佐川急便事件】異聞(236)「不記載罪」も会計責任者がダミーだと摘発のハードルは高かった
東京地検特捜部の「金丸告発事件メモ」の話を続ける。特捜部にとって政治資金規正法には難点が多すぎた(太字は「メモ」から引用)。 ※ ※ ※ 「メモ」は、金丸信の指定団体「新国土開発研究…
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【東京佐川急便事件】異聞(235)3万件を超す告発はいずれも検察からすると筋悪だった
ロッキード事件と違い、3万件を超える告発が検察に寄せられた金丸信の5億円闇献金政界ばらまき疑惑。 告発内容は多岐にわたったが、東京地検特捜部が作成した「金丸信らに対する告発一覧表(類型別)」…
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【東京佐川急便事件】異聞(234)榎本調書の存在は当時、報道されず。結果、市民からの告発はなかった
ロッキード事件で元首相の田中角栄が逮捕された後、世論の関心は、田中が受け取った5億円の使途がどうなったのかよりも、ロ社副会長の米議会証言などで浮上した、田中同様にロッキード・マネーを受け取ったとされ…
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【東京佐川急便事件】異聞(233)田中角栄は、賄賂とされた5億円は選挙のため業界ごとに割り当てた金だった証言
筆者は、2010年、朝日新聞の連載企画「検証 昭和報道」でロッキード事件を取り上げた際、1974年の参院選に立候補した議員らに当時首相だった田中角栄の指示で現金を運んだとする秘書の榎本敏夫の供述調書…
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【東京佐川急便事件】異聞(232)田中角栄は丸紅から受けとった5億円を参院選候補にばらまいた
金丸信の5億円闇献金の使途捜査の話に入る前に少し脇道をする。 検察はかつて、収賄容疑で逮捕した大物政治家の秘書から、政治家の指示で賄賂の金を含む巨額資金を国政選挙で派閥の国会議員らにばらまい…
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【東京佐川急便事件】異聞(231)特捜部、最後の仕事は金丸信5億円闇献金の使途解明
さて、本論の金丸信の5億円闇献金捜査に戻る。 東京地検特捜部の最後の仕事は、金丸が東京佐川元社長の渡辺広康から受け取った5億円闇献金の使途の解明だった。 金丸は、朝日新聞報道を受けた…
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【東京佐川急便事件】異聞(230)平和堂不動産社長はその後も、風説の流布や架空増資事件に連座した
平和堂不動産社長と検察との戦いは続いた。 懲役5年の実刑判決が確定して服役した平和堂不動産社長は、出所後の2000年11月、東証1部上場の大手中華レストラン「東天紅」に対するTOB(株式公開…
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【東京佐川急便事件】異聞(229)逮捕前の被疑者から事件の真相を聞くのは記者本来の仕事
平和堂不動産社長が文藝春秋(1992年11月号)のインタビューで、朝日新聞記者に言及した記事の引用を続ける(太字部分)。 「その記者は『自分は検察とツーツーなので、社長のためにいろいろ情報を流…
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【東京佐川急便事件】異聞(228)平和堂不動産社長が文藝春秋誌上で「朝日新聞記者」批判
余談になるが、朝日新聞は平和堂不動産社長の検察「告発」でとばっちりを食った。社長は文藝春秋のインタビュー記事で「朝日新聞記者」が取材をしないで勝手に記事を書いたり、検察と癒着して事件をフレームアップ…
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【東京佐川急便事件】異聞(227)「一攫千金をもくろんだ」と裁判所は平和堂不動産社長を断罪
そして判決。裁判所は検察に軍配を上げた。1993年12月9日、東京地裁は、特別背任罪などに問われた平和堂不動産社長に対し、懲役5年(求刑懲役7年)の実刑判決を言い渡した。 注目されたのは、平…