検察vs政界 経済事件記者の検証記
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【東京佐川急便事件】異聞(226)大手マスコミは「違法捜査」告発に反応しなかった
当時の大手マスコミは、文藝春秋の検察告発記事にほとんど反応しなかった。 日経テレコンの記事データベースで関係記事の見出しを並べると、「『獄中メモ』報道の平和堂グループ元代表被告、起訴事実認め…
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【東京佐川急便事件】異聞(225)「記憶だけで事実は出ない。資料をもとに聴いた」と担当検事
特捜部は緻密な捜査で、平和堂不動産社長の「獄中日記」作成過程の「ズル」を発見した。さすが特捜である。しかし、告発の手段にズルがあったからといって、告発の中身もいい加減とは限らない。 平和堂不…
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【東京佐川急便事件】異聞(224)獄中ノートでも証拠隠滅の疑い
もうひとつ、怪しい話があった。 東京拘置所で勾留中の平和堂不動産社長が小六法を入手したのは92年3月16日。しかし、小六法には2月14日に逮捕されて以降の記載があった。検察側は小六法に後から…
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【東京佐川急便事件】異聞(223)特捜部の捜査で「獄中日記」の確定日付文書の改ざん疑惑が浮上
東京地検特捜部から違法な取り調べを受けたと「告発」した平和堂不動産社長。その告発の根拠としたのが、小六法の余白に記した「獄中日記」のコピーに付された確定日付だった。 社長は文芸春秋のインタビ…
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【東京佐川急便事件】異聞(222)右翼関係者も渡辺元社長への裏金還流捜査を危惧?
平和堂不動産社長が電話で会話した右翼関係者は、戦後「日本の黒幕」といわれた児玉誉士夫の門下生で、「全日本愛国者団体会議」で最高顧問を務めた大物右翼、岡村吾一の秘書だった。 岡村は政財界に広い…
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【東京佐川急便事件】異聞(221)平和堂不動産社長は取り調べの間に右翼関係者に電話した
平和堂不動産社長は、検察捜査「告発」の動機について、文藝春秋のインタビューで以下のように語っていた。(太字は引用) 「何をいっても検事が一切聞いてくれなかったからです。最初から、『渡辺の全てを…
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【東京佐川急便事件】異聞(220)渡辺元社長の起訴事実否認と連動。平和堂不動産社長は捜査非協力に
東京佐川元社長の渡辺広康の特別背任容疑の共犯に問われた平和堂不動産社長は1992年6月25日、自らの初公判で起訴事実を認め、7月2日の第2回公判では検察側が証拠請求した自らの供述調書を含む書証全てに…
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【東京佐川急便事件】異聞(219)「獄中日記」に検察反撃。法曹用語を多用した記述などに注目
検察側は反撃に乗り出す。 捜査記録によると、平和堂不動産社長の取り調べを担当した検事は「公判維持が難しい背任の共犯で無理に逮捕したのは政治家に金を渡しているとの見込みからである」「裏金の還流…
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【東京佐川急便事件】異聞(218)平和堂不動産社長の弁護人は「俺の手は真っ黒だ」と言って辞めた元検事
平和堂不動産社長による特捜部の違法捜査批判は、「獄中日記」という一定の「物証」を根拠にした「告発」だった。社長の主張通りなら、特捜部の取り調べ手法は、「人質司法」や「違法な司法取引による利益誘導」の…
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【東京佐川急便事件】異聞(217)金丸や元運輸相の名をあげ「金を渡しただろう」と迫る検事
平和堂不動産社長の「獄中日記」の話を続ける。 東京佐川元社長、渡辺広康への裏金還流の特定が終わると、特捜部の捜査の焦点は渡辺の闇献金先の政治家に移った。社長は「獄中日記」で、その様子を以下の…
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【東京佐川急便事件】異聞(216)平和堂不動産社長は捜査段階で認めた東京佐川元社長への裏金還流を全否定
特捜部にとってさらに重大だったのは、平和堂不動産社長が月刊文芸春秋の「獄中日記」で、東京佐川元社長、渡辺広康の依頼で東京佐川から受けた融資保証の謝礼として十数億円の裏金を渡辺に渡したとの捜査段階の供…
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【東京佐川急便事件】異聞(215)大川原化工機事件でも問題になった「人質司法」
月刊文藝春秋1992年11月号で検察捜査を告発した平和堂不動産社長の「獄中日記」の話を続ける。 前回触れた「人質司法」は、日本の刑事司法の「宿痾」ともいえるものだ。被疑者・被告人が容疑を否認…
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【東京佐川急便事件】異聞(214)「裏金調達役」と検察が見立てた平和堂不動産社長の「逆襲」
「調書朗読事件」と前後して、もうひとつ検察を揺さぶる騒ぎが起きた。 東京佐川急便元社長、渡辺広康の特別背任の共犯として起訴された平和堂不動産社長が、検事から違法な取り調べを受け、事実と異なる調…
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【東京佐川急便事件】異聞(213)実名調書朗読事件で特捜部はさらに窮地に
この政治家実名調書朗読で、検察部内での特捜部の立場は厳しくなった。特捜部長の五十嵐紀男と副部長の佐渡賢一には罰点がついた。 朗読したのは公判部だったが、特捜部の起訴した事件で証拠請求も特捜部…
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【東京佐川急便事件】異聞(212)吉永特捜部長時代の摘発事件でも実名調書騒ぎ
裏付けのない政治家の実名調書が問題になったのは、東京佐川急便事件だけではなかった。東京佐川事件捜査を特捜部長として指揮した五十嵐紀男自身、1979年に特捜部が摘発した建設会社フジタ工業(現フジタ)幹…
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【東京佐川急便事件】異聞(211)特捜部と公判部の分業システムのエアポケットが生んだミス?
検察が摘発した事件の証拠請求・開示ルールはどうなっていたのか。五十嵐に説明してもらう。ちょっと専門的になるが、お付き合い願いたい。(太字は「法と経済のジャーナル」から引用) 検察の決裁システ…
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【東京佐川急便事件】異聞(210)特捜部長は刑事局よりも副部長の「怠慢」を責めた
裏付けのない政治家実名調書を裁判所に提出してしまった検察。その責任の一端は法務省刑事局にもあったとする元特捜部副部長の佐渡賢一に対し、特捜部長だった五十嵐紀男は反論する(太字は「法と経済のジャーナル…
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【東京佐川急便事件】異聞(209)「法務省刑事局は要旨通知で済ませる折衝も承知していた」
実名調書掲出の経緯を著者に語った元東京地検特捜部副部長の佐渡賢一の話はつづく(太字は「法と経済のジャーナル」から引用)。 (日本皇民党の)O総裁の供述したことがすべて真実として証拠申請した…
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【東京佐川急便事件】異聞(208)「公判立証方針には法務省刑事局が関与。独断専行したことはない」
ちなみに、東京佐川急便事件では、1992年9月初め、検察側から被告・弁護側に開示された東京佐川元社長、渡辺広康らの供述調書について「写しが永田町に出回っている」とのうわさが広がった。それらを入手した…
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【東京佐川急便事件】異聞(207)実名調書を朗読させた裁判長は「スタンドプレー」批判を受けた
政治家の実名調書朗読問題で検察側は対外的には非を認めて謝罪した。しかし、部内では「裁判長のスタンドプレー」批判が渦巻いていた。東京地裁裁判長の小出錞一が、証拠調べが済み普通は改めて朗読の必要性がない…