前田吟「男はつらいよ」を語る
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(47)寅さんのアットホームな雰囲気の中で、ジュリーと田中裕子は急接近した
──「男はつらいよ」にはミュージシャンが何人も出演しているが、共演者と結婚したビッグカップルが2組いる。30作「花も嵐も寅次郎」(1982年)の沢田研二と田中裕子、37作「幸福の青い鳥」(86年)の…
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(46)寅さんの中でも桃井かおり、岸本加世子、美保純は奔放で目立った
──「男はつらいよ」のキャスティングは落語から時にはアングラ劇にも足を運んで見て回った渥美清の意向が反映されたと前田吟は思っている。その一方で山田洋次監督自身が好んだキャストもあるという。自由奔放で…
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(45)大原麗子ちゃんは僕と梶芽衣子さんをくっつけようとした
──シリーズ50作の中で2度マドンナとして登場するのはすでに取り上げた栗原小巻、吉永小百合に加えて大原麗子、松坂慶子の4人。 ──大原は22作「噂の寅次郎」(1978年)、34作「寅次郎真実…
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(44)早い段階からマドンナ役に「美空ひばり待望論」があった
──「男はつらいよ」には人気歌手が次から次に出演している。沢田研二、長渕剛はテーマを変えて改めて取り上げるとして、それ以外の歌手の登場をまとめて語る。マドンナとして美空ひばり待望論もあったという。 …
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(43)始まりは桜田淳子…「男はつらいよ」への歌手起用は渥美清の意向もあった
──「男はつらいよ」には10作台の後半から人気絶頂の歌手が折々に出演するようになる。16作「葛飾立志篇」の桜田淳子に始まり、20作「寅次郎頑張れ!」の中村雅俊、21作「寅次郎わが道をゆく」は木の実ナ…
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(42)京マチ子さんは80代でも震い付きたくなるような妖艶さでした。
──太地喜和子がマドンナの17作「寅次郎夕焼け小焼け」の後は18作「寅次郎純情詩集」、19作「寅次郎と殿様」、20作「寅次郎頑張れ!」と続く。マドンナは京マチ子、真野響子、藤村志保。 「寅次郎…
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(41)太地喜和子がマドンナの第17作「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」撮影秘話
──2度の吉永小百合、浅丘ルリ子の出演を経て映画「男はつらいよ」は安定した人気を誇った。マドンナを中心に一気に寅さんを語る。 リリーを演じた浅丘ルリ子さん2度目の出演となった15作「寅次郎相…
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(40)渥美清は橋田壽賀子ドラマ出演について「長いセリフを頑張ってるね」と
──「男はつらいよ」は1972年お盆公開の9作「柴又慕情」から85年暮れ公開の36作「柴又より愛をこめて」まで14年間、盆と暮れの年2本公開が続いた。前田吟は寅さんが好調な一方で、役者として新たな挑…
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(39)おいちゃん役の松村達雄さんは、ガラッパチの演技ができないと悩んでいた
「男はつらいよ」はマドンナ役として浅丘ルリ子の登場などで人気シリーズとして定着したが、寅さん映画を支えるファミリーに変化があった。8作で初代おいちゃん役の森川信が亡くなり、2代目として松村達雄が登場し…
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(38)寅さんも顔色を変えて…自分が「男はつらいよ」シリーズ降板を覚悟した“事件”
──浅丘ルリ子演じるリリーが登場して(11作、15作)「男はつらいよ」はさらに注目を集めるようになったが、この頃、前田吟にとってはシリーズを降板するしかないと思った大事件が起きた。普段は温厚な渥美の…
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(37)寅さんはさくら、リリーがトランプするのを笑ってみていた
リリー、浅丘ルリ子はシリーズ50作で49作「寅次郎ハイビスカスの花 特別篇」を入れて6回登場している。前回の11作「寅次郎忘れな草」、15作「寅次郎相合い傘」の他に、25作「寅次郎ハイビスカスの花」…
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(36)リリーこと浅丘ルリ子さん登場で寅さんの世界にいきなり舶来ものが入ってきた
──「男はつらいよ」はシリーズ11作「寅次郎忘れな草」が1973年のお盆に公開され、新たなステージに突入する。マドンナとしてリリーこと浅丘ルリ子が登場し、それまでのマドンナ以上に話題性や注目度が一気…
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(35)倍賞千恵子さんは庶民的な方 ニンジン、ホウレンソウの値段も調べてくる
──「男はつらいよ」は中学の時に親と喧嘩して家を飛び出した寅さん、寅さんとは母親違いの妹、さくらのきょうだいの物語である。前田吟がさくらを演じる倍賞千恵子について語る。 倍賞さんは主演映画「…
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(34)「一生に一度、1億円稼ぐには?」と渥美清さんに聞いたら「バカだね」と説教された
──「渥美(清)さんとお金のことを話したことがあります」と語る、その頃の前田吟の生活について。 8作「寅次郎恋歌」まで公開された1971年は僕にとっては私生活も大きな節目でした。俳優座養成所…
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(33)渥美清さんから教わったセリフの極意、演技法
──映画「男はつらいよ」は1969年のスタートから72年の4年で10作が公開された。マドンナ人気もあって寅さんシリーズは押しも押されもせぬ国民的映画になった。 寅さんがスタートした70年前後…
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(32)多くのマドンナの中でも、吉永小百合は大学生が遊んでいるみたいに気さくだった
──9作「柴又旅情」のマドンナは吉永小百合。すでにサユリストに絶大な人気を誇る清純派の大スターだった。吉永は13作「寅次郎恋やつれ」でも9作に続く設定で2度目のマドンナを演じた。 この頃から…
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(31)第6作「望郷編」では若尾文子と差し向かいで江戸川の舟下りに興じた
──6作「純情篇」以降もマドンナはその時代を代表する人気女優が出演している。6作は若尾文子、7作「奮闘篇」は榊原るみ、8作「寅次郎恋歌」は池内淳子、9作「柴又慕情」は吉永小百合、10作「寅次郎夢枕」…
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(30)第8作「男はつらいよ 寅次郎恋歌」は連ドラ「積木くずし」出演につながった
──おいちゃん役の森川信の最後の出演作となった8作「寅次郎恋歌」(1971年)は前田吟にとっても転換期だった。 正直言って、寅さん映画に出るようになって、諏訪博の役が馴染むようになったのは9…
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(29)「セリフは後ろに下がりながらしゃべるの」と教えてくれたおいちゃんの死
──「男はつらいよ」の6作「純情篇」、7作「奮闘篇」、8作「寅次郎恋歌」の3作は1971年に公開された。動員は85万2000人、92万6000人とアップし、8作で一気に100万人を突破し、148万1…
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(28)倍賞千恵子は主演映画「家族」のロケと掛け持ちで多忙を極めた
──「男はつらいよ」の第1作から5作まで公開されたのは1969年8月から翌70年8月のたった1年だった。この間は渥美清も倍賞千恵子も前田吟も他にも作品を抱えて多忙を極めた。渥美は倍賞千恵子の妹・美津…