がんとは何か
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がん細胞が免疫監視システムからの攻撃を逃れる4つの手段
がん細胞が免疫監視機構から逃れるための主な手段として4つが明らかになっている。①自己と非自己を区別する基本的な標識であるMHC(ヒト白血球抗原=HLA)と、がん細胞の目印となるがん抗原の産生を低下・…
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オプジーボでも話題 免疫チェックポイントが注目されるわけ
私たちはウイルスや細菌などの異物を免疫細胞で認識・排除することで健康を維持している。 その一方で、免疫細胞が自分自身の細胞を攻撃しないため「免疫寛容」と呼ばれる仕組みがある。 例えば…
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がん細胞がヒトの免疫監視システムをすり抜ける仕組み
ヒトにはがん免疫監視機構があるにもかかわらず、日本人の半分はがんになる。 この仕組みが完全ではないからだけではない。がん細胞が自ら、監視システムをすり抜ける術を身に付けるからだ。 国…
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体内では毎日無数のがんが出来るのに健康でいられる理由
ノーベル医学生理学賞の受賞でがんの免疫療法が話題だ。今週はがんと免疫について考えてみたい。ヒトの体の中では毎日無数のがん細胞が生まれる。にもかかわらずがんにならないのは、がん免疫監視機構があるからだ…
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がんが進行すると人はなぜやせるのか? 原因は2つある
がんになった人がやせ細っていく原因は2つある。一つはがんで消化管が狭窄や閉塞してしまったり、治療や告知による食欲不振などが原因の「がん関連体重減少」。もう一つは、がんによって誘発された、「がん誘発性…
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がん細胞を焼いているのではない 放射線治療を正しく知る
放射線治療というと「焼かれる」「熱い」というイメージを持つ人が少なくない。原発事故などで放射線を浴びて皮膚が焼けただれた映像を思い出すからかもしれない。 しかし、ごく少量の放射線を使うがん放…
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放射線が効きにくいのは…塊が大きく細胞分裂しないがん
がんには放射線への感受性が高いものと低いものがある。高いのは細胞分裂を頻繁に行い、酸素濃度の高いがん。遺伝子情報が記載されているDNAは二重らせん構造で安定しているが、細胞分裂を行うときには、二重ら…
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がん3大治療のひとつ 「放射線」でがん細胞は死ぬのはなぜ
がんの3大治療法といえば「外科手術」「化学療法(抗がん剤)」「放射線」だ。最近は免疫療法を含めて4大療法といわれる。 「手術で悪性腫瘍を取り除く」「薬でがんを叩く」というのはイメージがすぐ浮か…
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日本人男性のがんの1割は酒が原因 発症のメカニズムとは
過度の飲酒が発がんに影響することは間違いない。国立がん研究センターが作成した「日本人のためのがん予防法」(2015年2月)には、飲酒ががんの罹患とがん死の原因となる割合はそれぞれ男性で9%と8.6%…
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ヘビースモーカーでもがんにならない人がいるのはなぜ?
喫煙はがん発症の最大の原因だ。日本の研究ではがんになった人のうち男性で30%、女性で5%がたばこでがんになったと考えられている。 しかし、ヘビースモーカーでも一生をがんとは無縁に過ごす人もい…
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アスピリンが大腸がん予防薬として期待されるのはなぜか
前回、感染症ががんの一因であることを説明した。感染で慢性炎症が起きるからだが、慢性炎症と関連があるのはがんだけでない。糖尿病、逆流性食道炎、石綿(アスベスト)、喫煙などといった非感染症でも慢性炎症と…
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先進国ではダントツ 日本は感染症によるがんが多い国
胃がん、肝がん、子宮頚がん、成人T細胞白血病……。日本は先進国のなかで飛び抜けて感染によるがんが多い国だ。 2003年に国際がん研究機構が発表したデータによると、感染症が原因でがんになる割合…
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がんリスクは「たばこ」並み 肥満はどうしていけないのか
がんリスクを高めるといわれる生活習慣や化学物質などはたくさんあるが、「たばこ並みのがんリスク」といわれるのが肥満だ。そのため肥満とがんの関係については世界各国で数多くの研究結果が報告されている。 …
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早期発見のカギは“がんのささやき” miRNAの意外な役割
前々回、腫瘍マーカーの多くが、がんの塊の中で血液が届かずに死んで、血液中に流れているがん細胞の死骸であること、そのため、がんがある程度成長していなければ、腫瘍マーカーは発見できにくいことなどを説明し…
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ストレスでリスク上昇 「不幸はがんを呼ぶ」は本当だった
がんになるとされる要因は「喫煙」「飲酒」「食べ物や栄養」「運動不足」「肥満ややせ」「感染症」「化学物質」が一般的だ。その一方で「不幸はがんを呼ぶ」とも言う。精神的ストレスはがんにどう影響するのか? …
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腫瘍マーカーの多くはがん細胞の死骸を調べている
医師やがん患者と話すと必ず出てくる言葉がある。「腫瘍マーカー」だ。 「広辞苑」(第6版、岩波書店)によると「腫瘍」とは「体細胞が過剰に増殖する病変。多くは臓器や組織中に腫れ物・瘤として限局性の…
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<14>増殖シグナルがあると伝える"ウソつき”ががんを作る
肺がん、胃がん、大腸がん……。がんにはさまざまな種類があるが、がん細胞には共通する複数の特徴がある。がん初学者向けの入門書として定評の「ペコリーノ がんの分子生物学第3版」には「増殖シグナルの自律性…
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<13>若い人のがんはたった一つの遺伝子変異で発症する
発がんを促すがん遺伝子やがん化にブレーキをかけるがん抑制遺伝子をドライバー遺伝子と呼ぶ。その変異が直接発がんにつながるからだ。一方、本来は発がんとは無関係でありながら、ドライバー遺伝子に巻き込まれて…
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<12>がん細胞はどのように浸潤・転移するのか?
がん細胞には、「外からの信号を無視して勝手に増殖する」「増殖を抑えるシグナルから逃れる」「無限の増殖をする」「アポトーシス(自死)の回避」「血管新生の形成」など6つほどの特徴があるといわれる。その1…
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<11>発がんの“ブレーキ役”を壊すには2つの遺伝子変異が必要
がんに関係する遺伝子は2種類ある。発がんに向けてアクセルを踏む「がん遺伝子」とブレーキをかける「がん抑制遺伝子」だ。正常な細胞ががんになるにはアクセルが入れっぱなしになることも重要だが、それ以上に大…